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25 ※羽山視点
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少し重い気持ちを抱えたまま帰宅した。
俺の家には俺と李斗の2人だけ。
5年前、両親からの暴力から逃れるように2階建ての前いたところよりも綺麗なアパートに夜逃げした。
ちょうどそこの大家さんが学校の校長先生で事情を説明したらすんなり受け入れてくれた。
校長先生の学校に入学することを条件に李斗と俺は受け入れて、部屋の1番広い角部屋と家賃免除という大きな物をもらった。
卒業してからも免除だって言ってくれているものの少しは返さなければ...ということで地道に2人でバイトして今も貯めている。
「ただいま...」
ドアを開けると李斗の靴がすでにあった。
靴を脱ぎ自分の部屋に向かう途中、ばったり李斗に会った。
「兄さん、おかえり」
「た、だいま...」
「どうしたの?顔色あんまりよくないよ?」
そう言いながら李斗は近づいてきて俺の頬に触れてきた。
「兄さん大丈夫?」
「んっ...あのさ、李斗」
「何?」
「昨日...有沢どうだった?」
尋ねると俺の頬に触れられていた手が離れ、踵を返した。
歩き出そうとした時
「待って...!」
腕を掴んで引き止めた。
「李斗...お願い、話してくれないか?」
必死の思いで言うと李斗にため息をつかれた。
その溜息が俺のせいだと思うと手を離さざる負えなかった。
高校入ってからお互いにこうなってしまってから、距離が出来て距離をつけさせたのも俺が原因で...
「ごめっ...ん」
「ったく、もう...あーーーーーーー!」
謝れば李斗は頭をわしゃわしゃして俺の手を握り、李斗の部屋の中に入れられた。
「......そんな辛そうな顔されてんのに話さないわけにはいかないだろ」
李斗がまた溜息をついた。
すると話し始めた。
「昨日、有沢先輩が屋上下の階段で泣いてたとこを俺らが見つけて泣き止ませらんなかったけど、傍にいてやった」
カバンからお茶の入ったペットボトルを2本だし俺に1本渡して「ベットんとこ座れば?」言われるがままベットに腰を下ろした。
李斗は自然とベットの脇に腰を降ろして、蓋を開けペットボトルに口をつけた。
「そん時俺が兄さんの弟だって話ししたら、一気に顔曇らせてさ...多分、有沢先輩さ兄さんを怒らせたって思ってると思う」
「な、なんで?」
「俺の予測だって。屋久土先輩に裏切られたって思われたからだよ。要するにイコールってこった」
崎谷の言ってたことは嘘だった...それはわかったけど、確かに屋久土の口調や態度から行くと確実にそうだ。
「でも、俺は......」
「その言い訳いう相手、俺じゃねぇだろ?」
李斗に初めて喝を入れられた。一瞬ビビってしまった。
「直接有沢先輩に」
「でも有沢は今日休んだんだよ?」
「あーそうだった、忘れてた」
「えっ休んだ理由わかんの?」
「分かるも何も連絡きたし、昨日泣きすぎた挙句雨に打たれながら帰ってそのまま疲れて寝ちゃったせいで、風邪ひいた挙句熱出ちゃったって...俺にLINE来たわ、朝」
「そ、そうだったんだ」
少し安心した。俺らのせいで学校来なくなるんじゃないかとばかり思ってたから...
でも安心も出来ない。
「けど治って学校行ったら宣言通りちゃんとするって」
「えっ」
「それでも俺らとは居ないってよ?相談聞きには来るって言ってたけどな」
当分の間、有沢と話せないと思うと寂しく感じた。
「兄さん」
「んっ?......ぅわぁ!?」
李斗に名前を呼ばれ李斗を見ると抱きしめられてベットから降ろされた。
「り、李斗」
「ねぇ...俺の気持ちに気付いてんだろ?」
「り...」
「なんで俺...兄さんと対立しないといけないわけ?」
肩に顔を埋めた李斗から聞こえる声は小さくて、ハッキリその言葉だけ聞こえた。
ただただ俺は李斗の気持ちに気付いていても、抱きしめ返すことしかできなかった。
羽山視点 END
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