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帰り道になって
『異常に優に優しくなったなーって...しかも、たまに上の空で何考えてんだろうなぁみたいな』
その理由を聞くためっていうのもあって生徒会室に行ったことを思い出した。
「あの、屋久土さん?」
「あー?」
「この頃悩んでること...あったりしますか?」
問いかけると歩きを止めた。
もしかして聞いちゃいけなかったのかなとか考えてしまう...
「まぁ悩んでたっちゃ悩んでた」
「そうなんだ...」
「聞きたいか?」
その問いかけに小さく頷くとまた歩き出した。
「俺さ、最近気になる奴がいて...多分好きなんだと思う」
“好き”
屋久土さんの落ち着いた表情から、その言葉が出てきて
心がざわついた。
「好きな、人...って?」
こんなこと聞くべきじゃなかった。
「んー...有沢の知らねぇ人」
そう後悔したのは屋久土さんの答えを聞いた後で、
1番優しくしているのは僕じゃない。
そう分かった時勘違いしそうになってた自分が
恥ずかしくなった。
「有沢?」
「あっ、ごめん...何?」
「いや...急に顔暗くなったからさ、お前もなんか悩んでんのか?」
「僕は大丈夫!」
“大丈夫”
これが僕の精一杯の答えだった。
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