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::::::救いの歯車::::::
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生まれて初めて恋に落ちた。
きっかけは軽はずみで入れた便箋。
あの時屋久土先輩が超絶嫌いで。だから喧嘩をふっかけるため、誰かの下駄箱に...
探していたら見たことのない下駄箱を見つけた。
「有沢...?」
俺は先輩全員を把握してるから分かるはずだったけど、聞いたことのない名前だったから、そこに軽はずみで入れた。
ワクワクしていたらお昼の時間を迎えた。
一緒にいる李斗が不在ですごくつまらなかった。
週末の課題を持って食堂に向かった。
食堂に行って屋久土先輩たちに会ったら絶対面白いだろうなとかそんなことを
1人で考えながら歩いていると誰かとぶつかった。
勢いはそんななかったものの俺が持っていたものが手から滑り落ちてしまった。
「ご、ごめんな...さい!」
俺にぶつかった相手がすぐに拾い集め返してくれた。
その時初めて相手の顔を見た。
明らかな場違い。しかも先輩で
ひ弱な挙句地味な奴......
「あの...本当、に、ごめんな...さい!」
何故か再び謝られた。そもそもどうして後輩に敬語なのか...理解できなかった。
なるべく感情を抑えながら
「そんな大丈夫ですよ!俺がぶつかっちゃったのに、あなたに全て拾わせちゃって...こちらこそごめんなさい」
優しい声で言いその人に頭を下げた。
「頭...あげて、くだ、さい...僕が、ぶつかったのが」
「いえ、俺があなたに」
「違っ...僕がぼけーっと、してた...から」
あたふたしながら言う姿に小動物の何かのように思えて思わず笑ってしまいそれにつられて彼も笑った。
「んじゃ、おあいこってことでいいですか?」
「そ、うしま...しょ、うか?」
「ねっ」
そう言うと小さく微笑んだ。その姿さえも愛おしく思えた。
「またこうやって話しませんか?」
面白くて使えると思い言うと
「い、いいですよっ!」
その人は軽々と嬉しそうにして乗ってくれた。
「分かりました。あのお名前だけ伺っても?」
「はい、あ...有沢って、言います」
その時初めてその人が有沢さんだという事を知った。
「有沢、さん...あっ、聞いといて自分の名前名乗らないって変ですよね!すいません。俺は」
俺が名前を名乗ろうとした時
「おーい、サキー!」
タイミング悪く李斗に呼ばれた。
「ちょっと待ってろ!本当すいません...この後急がなくちゃいけなくて、俺、サキって言います!」
「サキさん...あの時間、取らせちゃって...ごめんな、さい」
すぐしゅんとなる有沢さんに俺は
「大丈夫ですよ!こちらこそすいません!それじゃ、失礼します!」
明るく言って会釈をして食堂を後にした。
「あれ先輩じゃねぇか?知り合い?」
「いや今日が初めて」
「はっ?初めての割には仲良くなってんじゃねぇか」
「まぁね?」
「で、あれ誰だよ?」
「朝下駄箱に便箋入れた有沢さん、本人♬」
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