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チョコレート色の回想を、三。
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「どうした?何かあった?」
思わず光輔のことが心配になって、足早に近づいていく。すると光輔は苦笑した。
「や、そんなんじゃないってば」
「ほんとかよ?……なんか、今日変じゃね?体調悪い?」
光輔のでこに手を当てようとして、びっくりした。
「おまえ、背ぇ伸びた?」
疑問形にしたけど、絶対に伸びている。前はずいぶん下にあった顔は、もうおれと同じくらいの高さで、目線の高さもほとんど変わらない。
「そうだよ、伸びた。……最近、会ってなかったでしょ」
すっ、と光輔が目を逸らす。その様子に、なぜか胸がどきりと鳴った。
「あ、あぁ……」
そうだった。前は、光輔とそれこそ毎日一緒に過ごしていたけれど、去年あたりからあまり会わなくなったのだ。
おれも光輔も色々と忙しくて、時々遊びに誘ったり誘われたりしても、断ったり……断られたり。特に、夏くらいから光輔には受験勉強を理由に断られることが多かった。
前まではまるで本当の兄弟のように、お互いのことを何でも知っていたのに。
おれは、この光輔を、知らない。
伸びた背。目が合えば、するりと逸らされる。ぽつりぽつりと、つぶやくように話す口調。
変わらない高めの声だけが、おれの幼馴染みの光輔だって証明しているようだった。
漂う沈黙のなか、光輔が不意に顔を上げた。これまでとは違う強い瞳に、不思議と怖じ気づきそうになる。
五歳の頃から一緒の、弟分の、光輔の目に。
「俺、さ。アキくんのこと、待ってたんだ」
光輔が口を開いた。
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