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④
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『あ、あの、僕の顔に何か付いてますか?』
「間違っていたら、ごめん。もしかして、葉月由貴(はづきよしたか)?」
『……え?どうして、僕の名前を……?』
名前を名乗っていないのに、何故この男は僕の名前を知っているのだろうか。
由貴は眉間にありありと怪訝な表情を示した。
肩を強張らせ、表情だけでなく全身で怪しいと警戒していることを示している。
警戒している由貴を安心させるように、男は優しく微笑んだ。
だが、その笑みで警戒心が取れる訳もなく、由貴は眉間の皺を深くする。
『あの、どこかでお会いしました?』
「覚えてねえかな。オレ、雨音光希(あまねこうき)って言うんだけど。高校の時、同じクラスだった」
『雨音光希……?』
「そう、雨音光希。よく一緒につるんでいたじゃねぇか」
由貴が、腕を組んで暫く考え込んだ。
雨音光希……雨音……光希……光希……。
ふと、思い出し、由貴は大声を上げた。
『あ───っ!思い出した、光希』
「やっと思い出してくれたか。親友のことを忘れるなんて、薄情な奴だよな」
『ごめん………。高校を卒業して以来、会うこともなかったから』
小さく、囁くように言うと、由貴はしゅんと沈んだ顔で肩を落とした。
「まぁ、大学も別々になっちまったし、連絡も取り合ってなかったもんな」
少し困ったように笑って、光希は由貴の頭をよしよしと慰めるように撫でる。
光希は全く変わっていない。
高校の時のままだ。
高校時代、僕は目の前にいる容姿端麗、文武両道の雨音光希のことが好きだった。
雨音光希は、僕の初恋の相手でもあるのだ。
僕の初恋は実ることはなかった。
光希には付き合っている人がいたから…────。
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