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⑥
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頼んだイチゴパフェが運ばれてくる間、手持ちぶさたから由貴は何となしに店内を見渡した。
周囲の女性たちの目が、ちらちらと尚哉を窺っていてはそれとなく気を引こうと、秋波を送っていることに気づく。
当の本人と言うと、その熱い視線に気づいていない様子だ。
兄が格好いいのは僕の自慢でもあるけれど、なんだか面白くない。
不満顔で由貴は氷の入った水を、一気に飲み干した。
「お待たせしました」
ちょうど注文したイチゴパフェとコーヒーが運ばれてきて、テーブルに置かれた。
大きなイチゴ、イチゴアイス、イチゴソルベ、生クリーム、イチゴソースが入った豪華なパフェ。
パフェの目玉であるイチゴは最後に取っておいて、まずはイチゴアイスの所をスプーンで掬い、口に運ぶ。
程よい甘さと冷たさが口の中に広がる。
(ん───…、美味しい……)
それだけのことで、不満だった顔は満足げな顔に変わった。
我ながら単純だが、やはり好きな食べ物には弱い。
イチゴパフェを堪能していると、尚哉がクスクスと笑っている。
なにがそんなに可笑しいのだろうか。
「由貴、口元にクリームがついているぞ」
『えっ?どこ?』
「動くな。取ってやるから」
クスクス笑いながら尚哉が、由貴の口の端についたクリームを無造作に親指で拭い取り、そのままペロッと舐めた。
『なっ………』
恥ずかしさと驚きで口をパクパクさせていると、嬉しそうな黄色い悲鳴が周囲から上がる。
「きゃあ、今の見た!?」
「見た見た!いいもの見ちゃった」
こちらをちらちらと窺いながら、女性たちは赤く頬を染め、嬉しそうに囁き合っているのが聞こえてきた。
先程の尚哉がした行為を彼女たちに見られていたんだと恥ずかしく思う由貴と、対照的に尚哉は何も気にしていない様子でカップに口をつけた。
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