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仄明かり~今でもあなたが…… ①
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「お前さ、家に居たんなら何で出ねぇんだよ。何度もチャイムを鳴らしたんたぞ」
先程、インターフォンを鳴らしたのは光希だったのか。
『ご、ごめん。寝てて気づかなかった』
「ったく、寝坊助だな。寝癖がついてるぞ」
クスクス笑いながら光希が、ピョコリ跳ねた髪を撫でて直してくれる。
好きだった光希に髪を撫でられていると思うと、心臓がドキドキしてしまう。
────…静まれ、心臓。
それを振り払うように、問いかける。
『何か用事があるんだろ』
「ああ、そうだった。俺さ、昨日ここに引っ越してきたんだよ。それで引っ越しの挨拶をと思って訪ねたってわけ」
ちょっと待ってろと言い置いて、光希はベランダから部屋へと引っ込んだ。
暫くして、菓子折りを持ってベランダへと戻ってくる。
「これから隣同士よろしくな」
そう言いながら差し出す菓子折りを、由貴は受け取った。
『よろしく……』
「なぁなぁ。久々に再会したんだし、俺んちで話でもしねぇ?」
光希の誘いにどうしようかと、由貴は考えを巡らせた。
光希と話はしたいがシャツ一枚を羽織っただけの格好で、ここから出られるわけがなし、それに光希にだけにはこんな恥ずかしい格好を見られたくない。
何とか理由をつけて断らなければ……。
困惑している由貴に気づいた光希は譲歩を求めた。
「俺んちが嫌なら、由貴んちでもいいぞ」
『ご、ごめん、僕んちはちょっと……。兄さん、自分のテリトリーに他人を入れると怒るから……』
「由貴って、兄貴と住んでんのか?」
『う、うん……』
「そっか……。なら、今みたいにベランダで会わないか?」
『でも………』
兄さんに光希と会っていることがバレたら……?
またこの間のようなお仕置きが待っている。
あんな拷問のようなお仕置きはごめんだ。
だけど、光希と会いたい、話したい………。
少し、少しだけの時間でいいから、許されるよね……
?
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