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「俺と会うのは嫌か?」
由貴はぶんぶん、と首を横に振る。
『僕も光希と会いたい………。あ、でも兄さんがいる時は会えないから』
「そっか。俺もバイトがあるからな。バイトが休みの日に会おうぜ。由貴も大学、夏休み中で家に居んだろ?」
『僕は………』
返事をする前に、光希の部屋の方からインターフォンの音が聞こえてくる。
「あ、悪い。誰か来たみたいだ。じゃあ、また明日ベランダでな」
立ち尽くす由貴へ、光希が屈託のない笑顔を向ける。
光希の屈託のない笑顔が眩しい。
そんな笑顔を見せられたら、感情をなくしてしまった自分が惨めになる。
あんな風に自分も笑える日が、再び訪れることがあるのだろうか。
いや、僕は愛玩人形だ。
感情なんて必要ない。
『うん、また明日……ベランダで…… 』
「じゃあな」
手を振り、光希はベランダから部屋へと戻って行った。
一人残された由貴はベランダの柵に頬杖をつき、夕焼けに染まった眼下の街を、物憂げな顔で眺める。
そして、ひとつ溜め息をついた。
まさか初恋だった、光希が隣に引っ越してくるなんて……。
こんな形で再会なんてしたくなかった。
(光希………)
僕は今でも光希のことが…─────。
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