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インターフォンモニターの応答ボタンを押す。
『光希、どうしたの?』
「バイト先の友人から旅行の土産を貰ったんだけど、一人じゃあ食いきれねぇから一緒にどうかなって思ってよ」
『……でも、僕は……』
「オレを部屋に上げる所を誰にも見られたくないんなら、またベランダを伝って……」
『ダメ!危ないことはしないって約束しただろ!今、開けるからちょっと待ってて』
慌ててそう答えてボタンを押すと、よろよろと玄関へと向かう。
ドアチェーンを外すと内鍵を二つ解錠して、扉を押し開けた。
「悪いな。なんか押し掛けたみたいになっちまって」
『うぅん。さぁ、上がって』
「お邪魔します」
スニーカーを脱いで揃えて、光希は玄関に足を踏み入れた。
用意されたスリッパに履き替え、先に進んだ由貴の背中を追いかける。
「なぁ、由貴って兄貴と二人暮らしなんだろ?」
『うん、そうだけど……。突然、どうしたの?』
「いや、引っ越してきてから今日まで、一度も姿を見たことなかったからさ」
『兄さん、医者でしかも次期理事長だから、忙しくてなかなか帰って来ないんだよ』
「へぇ、凄いなお前の兄貴」
『うん、自慢の兄さんなんだ……』
自慢の兄さん……か。
そう思っていたのは昔の事だ。
「そっか、なら今日も帰って来て来ないのか?」
『う~ん……、解んない。でも、帰ってくる時は連絡があるから』
「そっか……」
『なんでそんな事を聞くの?』
「オレ、今日バイト休みだからさ。お前の兄貴が帰ってくるまで一緒にいられるなって思ってさ」
『な、何言って…───あっ……』
光希の言葉に動揺した由貴の躯が、不意にグラッと傾いた。
「由貴!」
倒れそうになった由貴の躯を、光希が反射的に支える。
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