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『悩み事なんてないよ』
「そうか、なら良いが。何かあったら直ぐ俺に言えよ。俺で良ければいつでも力になるからさ」
ニカッと笑った光希の大きな手が、乱暴に由貴の頭をわしゃわしゃと撫でた。
『うん。ありがとう……、なぁ、光希』
「ん?」
『……どうして光希は………僕に優しくしてくれるの?』
「何だよ突然」
『いや、何となく』
「何となくって何だよ」と笑いながら、光希が肩をバシバシと叩いてくる。
「そんなの親友だからに決まってんだろ。それ以外なにがあんだよ」
親友だからか………。
由貴の胸がズキリと痛む。
光希の優しさは、あくまで親友の延長線上にあるもので、それ以上でもそれ以下でもない。
僕に気持ちがないのなら、優しくしないで欲しい。
期待持たせないで欲しい……。
光希は僕のことをどう思っているのだろうか。
そんなこと口が割けても聞けるわけがない。
もし、聞いてしまったら今の関係が全て泡沫の如く消えてしまいそうで……。
「どうしたんだよ、さっきから変だぞ」
『本当に何でもないから、気にしないでよ』
訝しむ光希を振り払うかのように、由貴は食事を再開させた。
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