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第一章 出会い(2)
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先日の寮での追い出し会で、後輩たちから旧寮長へ特別にプレゼントがあるというから、何かと思ったら、熟女系ヌード雑誌を何冊も贈呈され、それによって川口は、皆からその日一番の笑いを取ったのだ。
ネタ的にではあるが、俺は、東寮内で熟女好きとして認識されていた。
そもそも、このデマの発端は、去年の夏の出来事にある。
昨年の夏休み中に、近所の、やはり中高一貫の女子校と我が校が合同で、外部講師を招いてのプログラミング研修を行った。
普段、男しかいない寮と校舎を往復するだけの色気のない学園生活を送っているので、久しぶりに、教室に女の子のいる華やいだ雰囲気を味わえるのは単純に嬉しかった。
メールのやりとりができる女友達くらいはできるかもしれないとぼんやり考えていたのだが、その一週間の研修で、俺はそれ以上の成果を得られたとも言えた。
研修初日、割り当てられた席の隣は、研修の内容などそっちのけで女の子たちを観察していた仲間らがこぞって、一番可愛かったと太鼓判を押す綺麗な子だった。
彼女とはプレゼンのチームも一緒になり、プレゼンの内容以外の雑談でも、俺の何でもない言葉に反応して
、彼女は何度も声を上げて笑い、ときにふざけて軽く肩に触れてきたりした。
そして、最終日、帰り際に彼女に呼び止められ、いきなり「つきあってほしい」と言われたのだ。
俺は、親しく口をきいた何人かの女の子たちと連絡先の交換くらいできそうかな、とは考えていたが、一足飛びに誰かと交際したいとまで気持ちが高まってはいなかったので、正直戸惑った。
だから、まだそこまで判断できないので、もう少し友達として会ってみたい、と伝えた。
俺としては、それで交際を完全に断ったつもりはなかったのだが、彼女は傷ついた顔をした。
傷つけるつもりはなかったので、俺は慌てて連絡先の交換を求め、その日の夜には、この一週間、一緒に活動できて楽しかった、またぜひ会って話がしたい、今回のメンバーの有志でどこかに遊びに行くのはどうだろう、などと自分からメッセージを送ったのだが、結局その後、彼女から返事は来なかった。
俺はこの件を誰にも話さなかったが、研修に参加していた彼女の友人から俺の友人に話が漏れて、漏れた話に尾ひれがつき、俺がK女子学園一番の美女を、友達としてならつき合えるが、一対一で会いたくはないと振ったと東寮中に触れ回られ、その話を聞いた、同級生はおろか後輩たちからまでも、どうかしている、頭がおかしいんじゃないかと毒突かれれるはめになった。
そのうち、そういえば、研修のときは女子学園の子たちより女性講師と話すときの方が前のめりになって生き生きしてたとか、食堂のおばちゃんともやたら楽しそうに話し込んでるときがあるとか言う者が現れて、嶋田は同世代より熟女の方が好きなのだ、などとまことしやかに囁かれるようになったのだ。
女子生徒より講師の先生と話すのが楽しかったのは事実だが、それは、同じ中学生より、プログラマーという普段出会う機会のない職業人の話の方が当然、新鮮で刺激的だったからだし、食堂のおばちゃんと仲がいいのは、今俺の住む関東地区では希少な、カープファン同士としての熱い繋がりがあるからで、どう考えても、異性としての関心からではないと思う。
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