アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第一章 出会い(11)
-
俺が寮長室を出て、ちょっと食堂の自販機に寄ったあと、俺の部屋がある3階に上がっていくと、栗山たちの騒ぐ声が廊下まで聞こえてきた。
「おい、うるさいぞ」
俺が注意しながら部屋に入ると、
「あ、本人が来た!」
「すみませーん。西野さんに寮長の話してたら、盛り上がっちゃって」
振り返った川口の手には例の雑誌があった。笑い過ぎたのか、涙まで流している栗山の顔からして、これは、ろくでもない法螺話に違いなかった。
何か注意しようと口を開きかけて、そこに、彼がいるのだと気づいた。
部屋の入口に立つ俺のちょうど反対側、窓際にあるデスクに浅く腰かけて、今、ちょうど、こちらに視線を上げたところだった。
あの、西野まどかが。
一瞬のうちに、俺は衝撃を受けた。
これは確かに、俺が知っている誰とも違う。
身長はたぶん170㎝くらいだろうか、緩くカールして整えられた美しい栗色の髪、透き通るような白く滑らかな頬、すっと通った鼻すじ、瑞々しく潤んだ唇、そして、全身に、今おろしたての衣類だけを身に着けているようなハリのある清潔感があった。
だが、一番印象的なのは、やはり目だと思う。
黒より茶色の印象が強い、吸い込まれそうな、大きく、美しい瞳。
去年の夏休みに会った女子生徒たちの中で、一番可愛いと誰もが認めた彼女さえも、一番、と他の女の子たちとの比較対象になる時点で、西野とは違う。
西野は、自分たちと同様の生き物とは思えないほど、その存在が異質に抜きんでていると思えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 246