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第二章 秘密(9)
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俺がその背を見送っていると、着替えを終えて部室から出てきた桐谷さんが近寄ってきて
「うまくいってる?」
と問うてきた。
桐谷さんから西野との関係を問われたのは、これが初めてだった。入寮初日に話し合って決めた通り、桐谷さんはこれまで俺たちのことには一切口を出さず、俺にすべてまかせてくれていた。
「見てください、これ。この気遣い。西野とうまくいかないやつなんてどこにもいませんよ」
俺が西野から受け取った包みを見せながら、やや自慢げに言うと、
「やっぱりお前、寝過ごしたのか」
と桐谷さんは笑った。
そして、去っていく西野の方に視線を向けて、ふと、本当にわずかに、桐谷さんが眉を顰めたように見えた。
俺が視線の先を目で追うと、そこには、校舎に向かって歩いていく西野と、いつ現れたのか、その横に、同級生の菅原の姿があった。
菅原は中等部の2、3年次、クラスが一緒だったので、俺はわりと親しくしていた。明朗で、一緒にいて楽しいやつで、去年一緒に参加したプログラミング研修で出会ってつきあい始めた、K女子学園在校の彼女がいるはずだ。
「どうかしましたか?」
俺は尋ねたが、
「なにが?」
と桐谷さんは首をかしげ、
「早く着替えないと、それ食べる時間なくなるよ」
と言い残して、校舎の方に消えていった。
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