アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第二章 秘密(12)
-
以来、俺は、悩んでいた。
これほど気になるのだから、本人に直接尋ねてみるべきだろうか。
でも、西野は夜中に俺に気づかれないようにベッドを抜け出し、しばらくどこかで時間を過ごしてから、またそっと自分のベッドに戻ってきているだけなのだ。
どこで何をしていようが、俺には何の迷惑もかけていないし、俺が口を出す筋合いはない。
それがわかっているので、俺はこのことを誰にも話せず悶々としていたのだが、意外なきっかけで、俺は、俺の知らない西野について新たに知ることになった。
ある日の昼休み、俺はパンを買うために、購買のパン売り場にいた。
すると、隣にいたやつから、「嶋田」と声をかけられたのだ。見ると、そこに菅原がいた。
「おお、久しぶり」
「飯?」
「うん。これとこれ、ください」
「嶋田、2個で足りんの?」
「うん。もう食堂でA定、食ってきたから」
俺が答えると、菅原は「じゃあ食い過ぎだろ」と笑って、自分もパンをひとつ買い、
「俺ももう食堂で食ってきてんだ。そのへんで、一緒に食わない?」
と俺を誘ってきた。
そう誘われた一瞬の間に、この機会を逃すと、俺はまたこれからも何も変わらず悶々とするだけなんだな、と頭の中で冷静に考えた。だから、
「じゃあ、あっちに座ろう。このへん混んでるし」
と俺は、あえて購買から少し離れて人気のない、プール脇のベンチに菅原を促した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 246