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第二章 秘密(21)
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俺は、西野を純粋に恋う気持ちなどは少しも伴わないまま、ただ欲望に任せて、西野の肩を抱き寄せて、十六夜月のあえかな光のもとでも薄紅に艶めく西野の唇を、強く吸ってみたい衝動にかられた。
もし今、俺が、そんな衝動的な行動を自分に許しても、西野は、逆らわない気がした。
でも、俺が欲望に負けたことを悔やみながら、唇を離したとき、西野はきっと、どうしたの?と問いたげな、感情を交えない澄んだ目で俺を見据えるのだ。
俺が西野との間に求めているのは、そんな一方的で、いびつな劣情を孕んだ関係ではなかった。
俺は、西野ともっと、裏のない、廉直な友人関係を築きたかった。
だから、俺はこの一時の誘惑に流されないために、西野から目を離して、自分から立ち上がり、
「さあ、今夜はもう戻ろう。
明日、俺の部活終わってから、一緒に東寮に行こうよ。ネコ部のやつら、紹介する」
と明るく促した。
「うん、ありがとう」
と西野は微笑んで立ち上がり、俺たちは、並んで第一ドミトリーへの道を戻り始めた。
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