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第三章 帰郷(6)
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そして、西野を見て、身体をこわばらせたかと思うと、身をひるがえして玄関に飛び込み、
「お母さん!隆くん、彼女連れてきた!」
と大声で言った。
幼い弟がそう早とちりするのも理解はできなくはなかったが、呼ばれて出てきた母親まで、
「え、あら・・・・・・学校のお友達連れてくる言うとらんかった?」
などと西野を目の前にして、困惑したように言うのでまいってしまった。
「ごめん」と俺は西野に謝って、
「学校の、友達。寮で同室の、西野くん」
と最後の「くん」を少し強調して言うと、また母は「あらあ」と声をあげ、
「ごめんなさいね。都会の子はこのへんの子とは、全然違うんねえ」
と申し訳なさそうにもごもご言った。
西野は気にしたふうもなく、
「西野まどかです。いつも隆弘くんにはお世話になってます。このたびはお世話になります」
と笑顔で挨拶した。
母は気を取り直して、「こちらこそいつも息子がお世話になってます」と微笑んで頭を下げ、どうぞ、と西野を中へ促した。
3階はフロア全体がリビングダイニングになっているが、見ると、テレビの横に、これまで見た覚えのない新しいゲーム機とそのソフトが10本ばかり散乱している。
「親父、智を甘やかしすぎ」
俺が眉を顰めると、お茶を運んできた母は、
「そんなにしとらんよ。いつもは、上の部屋に仕舞っとるけん。今日は、お兄ちゃんが帰ってくるから、一緒にやりたい言うて、出してきたんよ」
と父と弟を、それとなくかばった。
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