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第三章 帰郷(9)
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西野は続けて、
「俺、よければここにいさせてもらうし、嶋田はお父さんたちともっと話してきたら?」
「そんな、いいよ」
「でも、久しぶりに会ったんだし、俺に遠慮しないで」
「いい。別に。後でカニ食いに行くって言ってたし、そこでも話す時間いくらでもあるし、今はいい」
と強く主張したあと、気がついて
「あ、カニ、ほんとに大丈夫だった?」
と俺は西野に尋ねた。
「うん、もちろん。大好き。普段寮だとカニなんか食べられないし、すっごく楽しみ」
「だったら、よかったけど。親父、何でもこっちに相談なく勝手に決めるから」
また親父の愚痴を言いそうになったので、俺はこの気分を打ち切るために、西野を屋上に誘った。
そして、そこにあるプールを西野に見せると、彼は素直に、驚きのこもった歓声をあげた。
親父がケチだから、水を張ってなかったらホースで水を掛け合って遊んでもいいと思ったのだが、篤哉か智樹が友達と使ったのか、母が俺の帰省に合わせて気を回してくれたのか、そのプールにはたっぷり水が湛えられていた。
俺たちは衣服を脱ぎ捨てて中に飛び込み、日が暮れて、母が「ご飯に出かけよう」と呼びに来るまで、夢中になって遊んでいた。
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