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第三章 帰郷(23)
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ただでさえ、夜は外光の届きにくい4階で、さらに、遮光カーテンを閉め切っていたので、本当に光源が全く消えてしまった。
これでは西野の方に近づくこともできない。
他に選択肢がなかったので、しかたなく俺は壁を手探りして、もう一度、部屋の灯りをつけた。
バツの悪い思いを抱えて、明るくなった部屋でふたたび西野を見ると、彼は口元を両手で覆って、笑いをこらえていたが、ついにこらえきれなくなって、派手に吹き出した。
こうなると、俺ももう笑うしかなくて、しばらくふたりで腹を抱えて笑った。
そうして、やっと笑いがおさまったあと、俺は、
「さて、これは、どうしたらいいんだ」
「豆球とかないの?」
「あるけど」
「じゃあ、一回試してみたら?」
俺は言われたとおりに、リモコンで豆球だけつけてみた。
そして、西野の隣に座り、お互い、相手がどれくらい見えるか確かめてみたが、
「うーん。もうちょっと明るい方がいいかな」
と俺が言うと、西野は
「俺、これくらいでいいけど」
「でも、よく見えないじゃん。せっかくだから」
俺の台詞に、「なにそれ」と西野はまた笑った。
そして、俺は、机の上にあった電気のスタンドを壁の方に向きを変えて点けてみて、部屋全体がさっきより少し明るくなったことを確認すると、西野の隣に戻った。
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