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第三章 帰郷(24)
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「はー、かっこ悪い、俺」
出だしでの、あまりの初心者じみた失敗に、俺は自分が情けなくなって自嘲気味に言ったが、西野は明るく、
「俺、嶋田のそういうところ、好きだよ」
「え?俺って、西野の中で、そういう間抜けなキャラなの?」
「そうじゃなくて、なんか、自分を繕ってるところがなくて、自然体でいいなってこと」
と言って、西野は微笑んだ。
よくわからないが、西野が失望してないなら、それでよかった。それに、さっきの失敗のおかげで、緊迫した空気が、いつもの俺たちらしく、和やかになっていた。
「じゃあ、あっち、行く?」
俺が自分のベッドを指さすと、西野は急にまた恥ずかしそうになり、「うん」と小さな声で言った。
俺は西野の手を取ると、ほんの数歩の距離を手をつないで一緒に歩いて、そして、ベッドにたどり着くと、西野の身体をそっと、そこに横たえた。
そうして、俺は、西野の隣に自分も横たわり、眼前にあった西野の顔に、自分の手を添えて、そっと口づけた。
昼以来の、いとおしい西野の唇の感触を確かめて、俺は幸福感でいっぱいだった。
もったいなくて、今夜はただ、こうして顔を見つめ合いながら、口づけを繰り返しているだけでも十分だと本気で思ったが、そんな感情と裏腹に、身体は西野を求めて強く反応し始めていた。
俺が少し身体を起こして無言でTシャツを脱ぐと、それを見て、西野もそっと起き上がって、静かに自分の着ていたTシャツを脱いだ。
西野の身体を見るのは、もちろん、これが初めてではなかった。
それなのに、俺は今、ものすごく興奮していて、よく今までこの身体を見ていて平気でいられたな、とかつての自分の鈍感さを不思議に思った。
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