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第四章 夏の終わり(2)
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「は??冗談じゃないですよ、誰がそんなこと」
俺は全力で否定したが、桐谷さんは涼しい顔で、
「みんなやってるよ。水泳の授業で盗み撮りされた俺の写真がいくらで取引されてるか、お前知らないの?」
「そんなの金くれるって言われてもいりませんよ。俺、桐谷さんで抜かなきゃいけないほど、困ってないですから!」
俺が叫ぶと、桐谷さんはそこで、何か悟ったように、あー、と一言漏らして、面白そうな表情になり、
「お前、西野まどかと寝たの?」
と俺に訊いてきた。
あまりの直截的な言葉に、俺は一瞬、唖然としたが、気を取り直して、
「つき合ってます。まじめに。いけませんか」
ときっぱりと答えた。
寮内での風紀の乱れを気にしていた桐谷さんには、何か言われるかと思ったが、
「全然。ああいう目立つ子は、特定の男がいる方が、治安も落ち着くし」
と予想外に肯定的だった。しかし、続けて、
「でも、お前みたいな面白みのない童貞まで相手にするなんて、西野って筆おろしが趣味なの?」
などと桐谷さん得意の毒舌が炸裂し、俺はしばらく言葉を失った。
「俺は確かに、面白みのない童貞かもしれませんが、西野は、そういうんじゃないです」
俺が憮然としてそう言うと、桐谷さんは
「骨抜きにされてんなあ」
とまた笑った。
そして、「けど、そういうことなら」と続けて、
「お前、次期、寮長やらない?」
と唐突に言ったのだ。
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