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第四章 夏の終わり(3)
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「俺、10月から、寮長やろうかな」
その日の夜、俺は西野に、桐谷さんからの提案について話した。
中等部の寮では、寮長は、最終学年の3年次、一年間の任期と決まっていたが、桐谷さんによると、高等部では、大学受験準備への負担を考慮して、高校生活の後半は避け、1年生の10月から2年生の9月までの一年間、下級生が寮長を務めることとされている。
来月、その一年の任期を終える桐谷さんには、次期寮長の指名権があり、桐谷さんは、俺を指名したいと考えているとのことだった。
「ふうん。桐谷さん、嶋田のこと、ほんとに気に入ってるんだね」
と西野は、仰向けになった俺の身体の上にうつぶせで寝そべり、俺と向かい合った格好でそう言った。
今、俺たちは、自室の二段ベッドの下の段、西野のベッドでふたり横になり、消灯時間までをゆったりした気分で過ごしているところだった。
真夏にぴったり身体を重ね合っているので、暑いかと言えばかなり暑かったが、それが不快かというと全くそんなことはないのだから、恋とは不思議なものだ。
俺は、西野の髪を指で漉きながら、
「引継ぎとかで、10月以降もしばらく話し合いしたりする機会が多いらしいんだ。俺なら、桐谷さんの奴隷みたいなもんだから、呼びつけたりするのにも遠慮がなくていいって思ってるんじゃない?」
「ふうん」
西野が面白くなさそうな顔をするので、
「西野は反対?」
と俺が問うと、
「だって、寮長になったら、・・・・・・寮長室に移っちゃうんでしょ?嶋田ひとりで」
「そう!それなんだよ!俺が寮長やってもいいって思った理由は!」
俺が勢い込んで言うと、西野はますます不満そうな顔をした。俺は西野の胸中を察して、
「いや、西野と部屋を別れるっていうのは、俺も嫌だけど、もっと重要な特典があるんだよ!俺たちにとって」
俺は続けて説明した。
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