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第六章 海音寺(2)
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俺はため息をつきたくなるのをこらえて微笑み、
「ありがとう、って言ったらいい?海音寺、時間ないから、先に仕事の話済ませようよ」
「だったら、もっと時間あるときにあらためて打ち合わせすればよくない?久しぶりに会うのに、こんなとこに呼ばなくても、寮長室とかでゆっくり話せば」
「そうしてもよかったんだけど、海音寺、放課後とかは水泳部の練習もあって忙しいかなって思ったんだ。だから、ちょっとせわしないけど、昼休みの方がいいかなって」
「そうなんだ。俺、こんなとこに呼び出されるから、警戒されてんのかと思ったよ。まどかは俺とふたりきりになりたくないのかな、とか」
「どうして?そんな理由ないよ」
俺が冷静に言い切ると、海音寺は「そうだよな」と頷いた。
「じゃあ、あらためて、寮祭のことだけど」
と俺が話を戻そうとすると、海音寺は、
「それなんだけど、悪い。俺、今日、資料持ってないんだ。忘れてきちゃった。だから、明日の放課後、あらためて第二の、寮長室で話し合わない?明日は俺、部の練習休みだから、お気遣いなく」
と言って、にこっと笑った。
一本取られた。
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