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第六章 海音寺(9)
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俺は知った。この話を海音寺が持ち出したときから、うすうす危惧した通り、海音寺は、もちろん、気づいているのだ。
そして、思い出す。以前、海音寺には、自分の両親のことを話したことがあった。海音寺にだけは。
海音寺は今度こそ、俺の頬に触れてきたが、俺はそれを避けることすらできないくらい、心を乱されていた。
「いやだ」
海音寺の指に対してではなく、そう訴えた俺の声が震える。
「何が」
「俺、あれを、上映なんて」
海音寺は、声だけではく全身が震えだしそうなほど動揺している俺に、これまでにないほど優しい声でこう言った。
「学校側に確認したけど、上映許可が下りなかったって、太田たちには言ってもいいよ。別に過激な描写とかがあるわけじゃないけど、確かに内容が内容だからね。俺がこの企画、中止になるように、なんとかしてやってもいい」
海音寺は、俺の頬を指先でゆっくりと撫でた。
「そうしてほしかったら、俺にお願いして」
何を言われているのかわからなかった。
「お願い、します」
戸惑いながら、俺がそう口にすると、海音寺は笑って首を振り、
「行動で示さなきゃ」
と言って、海音寺は俺の頬に触れていた指を、俺の唇の間に含ませ、その指で俺の舌に触れた。そして、言った。
「ひざまずいて、舐めて」
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