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話し 4 *崇人の家庭の事情*
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壱夜が崇人に聞いた。
「…崇人さんは、独り暮らしと言ってましたよね?」
「ん?あぁ、そうだ」
「家族は?」
「いない、小さい頃に両親は死んだ」
「すみません!」
壱夜は、自分の軽率で無神経な事を言ったのを謝った。
「いいって別に。小さい頃に死んだから、あんまり自覚無いし、それに親戚にたらい回しにされなかっただけマシかな。俺、施設育ちなんだよ」
崇人は壱夜の髪を撫でた。
「すっげーボロいんだ、その施設。でも俺の事も、他の奴らの事もみんな我が子の様に育ててくれた。俺なんて、大学まで行かせてもらえたし感謝してる」
壱夜も崇人の髪を撫でた。
「今、その施設を建て直してやろうかなって必死で働いているところ」
「…恩返しですか?」
「うん、まぁでかい夢かも知れないけど、俺は絶対に現実にしてみる」
壱夜には崇人が眩しく見えた。
自分は、困ることもなく不自由なく生きていた、名だけが一人歩きをしている籠の中の鳥で。
崇人は逆境にも負けない大空を翔んでいる鳥だと思った。
「…崇人さんが育った施設も、育ててくれた人にも会ってみたいです」
「びっくりするぐらい、建物が酷いけど?」
「崇人さんに会えた事の、感謝を言いたいです」
「…壱夜」
崇人は、壱夜の唇に口づけた。
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