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半年後 1
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崇人は忙しい日々を送っていた。
仕事は順調で、得意先も増えていった。
(…忙しい方が、何も考えなくていい…かもな)
自分が、こんなに弱い人間だと知らなかった。
(弱ってんな、俺)
しっかりしなきゃ駄目だなと思い、自分の頬をおもいっきり叩いた。
「おわっ!!」
後ろから急に大声が聞こえる。
振り向くと、同期の垣内 圭汰(かきうち けいた)が右手を崇人に向けた状態で止まっていた。
「…圭汰、何やってる?」
崇人は驚きながら聞いたが、圭汰の方が数倍驚いていた。
「いやいやっ!それは俺のセリフ!!何やってんだよ、崇人」
叩いた頬を擦りながら言う。
「ん~?気合い入れてた」
「相当お疲れだな。まっ、無理もないか」
圭汰とは同期のよしみで、今も仲が良い。
営業の1課と2課で違う部署になってしまったが、お互いを良きライバルとして一緒に頑張ってきた。
そして、2人共に各課の班長と昇進した。
「圭汰、珍しいな。この時間にお前がいるなんて」
「あぁ…実はさ、来月から海外出張を言われてさ」
「えっ?!海外!!」
「いや、短期なんだけど」
「短期ってどのくらい?」
「…2ヶ月。だから、行く前に飲み誘いしようと思って、お前を誘おうと探してた」
「そっかー、2課は海外多いな。いいぞ、行こう!あ、梨乃も誘うか、同期の別れにさ」
「お前と、2人きりがいいんだけど」
圭汰は崇人に聞こえないように、小さい声で言った。
「ん?」
崇人は聞こえなかったので聞き返そうとしたが、遠くにいる梨乃に気づき手を挙げて呼んだ。
「梨乃!ちょうど良かった」
「どうしたの?崇人と圭汰が一緒にいるなんて、悪巧み?」
前澤 梨乃(まえざわ りの) は、崇人と圭汰の同期で経理課に配属になっていた。
「梨乃、圭汰の2ヶ月間の海外出張が決まったから飲みに行こう!」
梨乃は、チラッと圭汰を見た。
圭汰は肩をすくめながら言う。
「男2人は、寂しいって」
「…いいわよ。2ヶ月って言わないで、もっと海外にいればいいのに」
「止めてくれ~!寂しくて、死んじゃうっ」
「あははっ、気持ち悪い」
「うん、気持ち悪いな」
2人で納得する。
「ちょっ、気持ち悪いって何だよ!」
圭汰が叫ぶ。
そんな圭汰はお構いなしに、梨乃は別の話をしてきた。
「それよりもね、明日の新入社員に跡取り孫が入社するって!」
「なんだよ、梨乃。もしかして…玉の輿狙ってんの?」
圭汰が聞いたが、梨乃はシビアだった。
「今どき、玉の輿なんて流行らないわよ。働けなくなるじゃない」
「ははっ、梨乃らしい」
崇人が笑った。
「じゃあ、顔を拝める明日が楽しみだな」
「圭汰が玉の輿、狙ってる~!」
「そんなわけあるかっ!」
「…で、いつ行く?新入社員歓迎会も、その分だとあるみたいだし」
崇人が聞いた。
「あぁ、じゃあ…2週間後は?新入社員の飲み会、増えそうだけど。一応な?」
「そうね!じゃあ、詳しくはまた今度。そろそろ仕事、戻らないと!」
「あぁ、近いうちにな」
飲み会の約束をして、2人と別れた。
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