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半年後 2
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次の日になり、新入社員の為に会社で一番広い会議室に呼ばれた。
みんなが、自分の課や班で固まって座る。
崇人は1課の営業の通称、十和田班の第3班長に抜擢された。
崇人の直属の上司の十和田の下には主任がいて、その下が班長で第5班まである。
その班長達の下には、更に部下が数人いる。
崇人の下の部下には、一つ年下の山下 経厚(やました つねあつ) と、三つ年下の堀川 琴(ほりかわ こと) が配属になった。
(社長の子供ではなくて、孫か)
そういえば、社長の子供は女の子しかいなくて入り婿として迎えたけど、病弱で最近亡くなったと聞いていた。
葬儀は親族のみで執り行われて、香典は要らないと聞かされていた。
時間になり、社長が会議室に入ってきた。
花杜 千樹(はなもり せんじゅ)は、花杜コーポレーションの社長でやり手。
とても融通の利かない厳しい人として有名だが、会社に対する姿勢は素晴らしいと、崇人は尊敬をしていた。
社長のすぐ側には、秘書の綾鷹 絢斗(あやたか けんと)がいた。
親子ほどの年の差ではあるが、気難しい千樹が側に置くのだから、かなりの優秀な人材なのだろう。
甘いマスクと落ち着いた雰囲気、物腰の軟らかさで女子社員が黄色い声を出しているのを見たことがある。
だが、絢斗には最近婚約者が出来たらしいと噂が流れて女子社員が一斉に落胆していたのは、新しい記憶にあった。
(雰囲気的には、壱夜も似てはいるが…)
崇人にとっては、純真無垢で自分に自信の無い、少し世間知らずな壱夜の方が魅力的だった。
(…壱夜どうしてるかな)
進行役の重役が社長の目の前なのか緊張していて、いつになく真剣で声を震わせながら進行していく。
重役に促されて社長が挨拶をしていたが、頭に入らなかった。
顔が自然に下を向く。
革靴の指先を見ながら、崇人はため息をついた。
(ありがたい話をしている時に、俺は何を考えているんだよ!)
社長の話が終わり、重役が声を張り上げた。
「では!期待の新人、花杜壱夜くん前へ」
重役の言葉に、疑った。
崇人はガバッと、勢いよく顔をあげた。
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