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好きな子を甘やかせたいし苛めたい。その気持ちのどちらも込めた言葉が『可愛がりたい』なんだと思う。
はだけさせた胸元で揺れるもの。左右にゆらゆら揺れて、目的のものを隠したり見せつけたりする。
俺はそれを指で摘まみ上げキスを落とした。
「自分のネクタイに何してんだよ…」
膝の上に座らせたウサギがため息混じりに言う。
身動きしづらいから、と向かい合う形で座ったはいいものの、よく考えてみたら鍵を締めていなかった気がする。こんな体勢を見られたら言い訳なんて出来ない。
扉に向かおうにも、ウサギが俺の身体を掴んで離してくれない。
まだ授業中だから大丈夫。そう言い聞かせた俺は、口元に当てたネクタイへと意識を戻す。そこからは自分の香水の匂いがした。
「だから何してんだって」
答えなかった俺に、焦れたウサギが再び問いかける。
「おまじないと願掛け」
「…って何が?」
「慧君に変な虫が寄ってきませんようにっていう、おまじないと…」
そこで一旦言葉を止め、上目遣いでウサギを睨む。見つめるんじゃなく、鋭く睨んだ。
普段の俺がこうしてウサギに攻撃的な視線を向けることはほとんどない。だからか、ウサギがビクッと怯み、その腰が引けた。
抱えていた方の手で抱き寄せる。
「リカちゃん…?」
窺うように俺の名前を呼んで、その手がスーツから離れる。
あれだけ生意気なくせに、少し厳しい面を見せると怯えて気が小さくなるところは変わらない。
深層心理で、ウサギはワガママを言って俺を試すことが多い。ワガママを叶えてくれるかどうかで相手の気持ちの大きさを確認する節があった。
それは不器用で素直じゃないウサギらしい。けれど、やっていいことと駄目なことがあるのだ、とわからせなきゃいけない。
鋭利なままの視線で射ると、ウサギは本能的に首を振った。その理由は、きっと本人にもわからないだろう。
無意識に許しを請う姿勢は、見ていて悪くない。
ふっ、と睨むのをやめ優しく笑って口を開く。
「逃げようとすんなよ、ってお願いしてみたんだけど。慧君なら叶えてくれるよな?」
「それ……お願いっつーか脅迫に近いんじゃ…」
「捉え方は人それぞれだからな。お前がそう思うならそうかも」
何か言い返そうとしてきたウサギの口を塞ぐ。驚きで奥に逃げた舌を自分のそれで誘い出し、絡ませる。
必死に縋りつくウサギを追い込んで追い込んで、その目が蕩けるまで手加減なく責めれば、それは時間の問題だった。
「リカちゃん…」
離れた唇から出る俺の名前は媚びを含んで甘く、全身が震える。普段は誰も寄せつけないような雰囲気を出しているくせに、こんな時になると誘うなんてルール違反だ。
「寂しかった?」
とろんとした目で見つめてくるウサギに問いかけると、強く抱きついてきてコクン、と頷いた。
「俺のリカちゃんなのに…俺が知らないことあんのがやだ」
「ああ、だから首輪ってわけか。本当にお前は束縛魔だよな」
その自覚があるから悩んで、でも男としてのプライドから言えなくて。けど言いたくて爆発した結果が首輪だなんてウサギらしい。
判断不明な絵よりも不器用な愛情表現と、可愛すぎるワガママに堪えきれず笑いが零れた。
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