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卒業式【獅子原理佳×兎丸慧】
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ぽとり、ぽとりと温かい雫が頬を伝う。
それを掬いとったリカちゃんが笑った。
「お前を幸せにできるのは俺しかいない……って、こんなの常識過ぎて言うまでもないかな」
その笑顔は何度も見てきたもので、瞼を閉じればすぐに浮かんでくるもので、俺の大好きなもので。
俺の欲しかった全てだ。
力の抜けた身体が崩れ落ちる。
それを支えてくれたリカちゃんを見上げると、どうしてだか俺の唇は震え、上手く声にならない言葉が頭の中に溢れた。
そっと、俺の唇を撫でたリカちゃんが囁く。
「絶対に後悔させない。だから、そのまま頷いて」
そんなの言われなくてもわかってる。
リカちゃんは俺を1人にしない。リカちゃんは俺に嘘はつかない。何があっても傍にいて、駄目なことは駄目って言って。
でも、どんな時も見捨てたりはしない。
静かに重なった唇は柔く甘く、時間をかけて離れる。
その先には俺のことを世界で1番愛してくれ
俺が世界で1番求める人が笑っている。
「愛してるよ。どれだけ言っても言い足りないから、この先もずっと伝えていきたい……いつも、どんな時でも俺はお前を愛してる」
リカちゃんの言葉に止まらない涙が堰を切ったように流れる。それは流れても流れても枯れることはない。
悲しい涙は冷たく、嬉しい涙は暖かい。
まるで頑なな心を溶かし、言わずに留めてきた気持ちを解き放つ鍵となる。
自然とその言葉が出た。
「俺……っ、も……リカちゃんを愛してる」
好きになってほしい。愛してほしい。
傍にいてほしい。忘れないでほしい。1人にしないでほしい。
求めることはたくさんで、望むものも多い。
その中でも1番の願い。
「俺もリカちゃんを、リカちゃんだけを愛してる」
どうか、この気持ちを受け入れてほしい。
涙声で告げた俺にリカちゃんは答えた。
「やっばぁ……もう…………言葉にならない」
饒舌で何でも知っているリカちゃんが黙りこみ、強く俺の身体を抱き寄せた。
合わさった身体は2人分の鼓動を1つにする。リカちゃんの身体に触れた部分が、どんどん溶けていきそうに感じた。このまま混ざりあって1つになれそうだ。
そうしたら永遠に一緒にいられる…そんなことを思いながら、俺を見つめているリカちゃんに笑いかける。
「慧君が笑ってくれると…幸せ」
その一言に、やっぱり別々のままでリカちゃんの傍にいたいと思ってしまう。
だって、みんなのリカちゃん先生をこんなにも甘く変えてしまえるのは俺しかいないから。
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