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リカちゃんが楽しそうな笑い方をする時は、大抵が危険だ。学習能力が無いとバカにされる俺でもわかる。こういう時に取るべき手段は間違いなく『逃げろ』
けれど掴まれた力は強く、手を引こうにも、びくともしない。見た目は細いくせに無駄に力が強いから質が悪い。
「離せ……っ、俺には時間がねぇんだよ」
「大丈夫、時間なら止まってるから」
「バカかてめぇ!いいから離せってば!」
「こらこら。せっかく大学生になれたんだから、もうちょっと口の利き方にも気を配ろうな。そんなに荒いと友達100人できないぞ」
「んなもんいらねぇし!」
離せと抵抗する俺と、離すまいと拘束を強めるリカちゃんの攻防は終わらない。その間にも時間は過ぎ、そろそろ家を出ないと本気でヤバい。
俺が通うことになった大学は、電車を2本乗り継いで1時間ほどかかる場所にある。その他にも歩くことを考えたら余分にみておいた方がいい。
入学式が始まるのは10時から。そして今は8時30分だ。
「遅刻したらどうしてくれんだよ!お前が責任とってくれんのか?!」
あまりにもしつこいリカちゃんに怒鳴ると、その手が離れる……なんてことはない。逆に先ほどよりも強い力で引き寄せられ、ソファの背もたれを乗り越えた俺の身体が落ち着く。
リカちゃんの胸の中に収まり、強く抱きしめられる。
「とるよ責任ぐらい。だから安心して俺に任せて」
「リカちゃん……いや、そういう意味じゃなくてだな」
「たとえ慧君が大学に行けなくなっても、就職先なら心配しなくていい」
頭の中で鳴る警笛。掠れた声が耳に入ってきて、あのバニラの甘い香りが辺りを包み込む。
俺は、なんとかこの雰囲気をぶち破ろうとした。
「リカちゃん、とりあえず続きは帰ってか──んん?!」
制止する言葉は喉の奥に消え、代わりに漏れるのは聞き慣れたあれ。
「やっ……あっ、リカちゃん待って、まっ……ん」
途切れ途切れになる俺の声と、それを掻き消す水音。咥内に潜り込んできたリカちゃんの器用な舌は、俺のそれを容易く探り出し絡めとる。
リカちゃんと付き合って知ったキス。
ちゅー、なんて可愛い名前では済まされない濃厚な行為に頭が蕩ける。
「リ、カちゃん……ふっ……ぁ、だめ」
「駄目?なんで?」
「やだ……んっ」
送りこまれるリカちゃんの唾液。それが俺のものと合わさって唇の端から伝い落ちる。その感触をリアルに感じ、ぞくぞくと腰から疼きが広がっていった。
2人の唾液がソファに垂れるよりも先に、リカちゃんからの甘い甘い一言が降ってくる。
「愛してるよ慧君。俺だけの可愛い可愛いウサギちゃん」
こうなったリカちゃんには、待ってもやめても通用しない。
今までの経験通り、俺が解放されたのは9時を過ぎた頃だった。
散々舐められて吸われた唇は赤く濡れ、息も絶え絶えにリカちゃんを睨む。けれどリカちゃんは平然と笑った後、車のキーを手に取った。
「ほら、送ってやるから。奥さんの晴れ舞台を旦那の俺が見ないでどうする」
きっと、リカちゃんは初めからこうするつもりだったんだろう。わざと時間を遅らせて、電車では間に合わないように仕向けるための作戦。
その作戦を見事遂行させたリカちゃんが、満足げに言った。
「悪い虫は初めのうちに駆除しとかなきゃだしな」
休みの日なのにリカちゃんがスーツを着ている理由。今になって、やっと気づいた自分が悔しい。
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