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「ウサマル、歩おはよ」
颯爽と歩いてきた幸は、俺の隣の椅子に座り長い足を組んでにこにこと笑う。
「お前……相変わらず同一人物と思えない格好してんな」
そう言う歩に俺も同感だ。今日の幸は黒のスキニーパンツに白のVネックのトップス、首には見るからに高そうなネックレスをして、前髪は綺麗に真ん中で分けられていた。
金髪の歩に赤髪の幸という目立つことこの上ない状況に頭が痛い。眉間を押さえる俺に、隣に座った幸が声をかける。
「ウサマルどないしたん?夏バテ?」
「まだ5月だし夏じゃねぇしバテてもねぇよ」
「えー。その割になんか疲れて……って、まさか!まさかなん?!」
両手で口元を押さえた幸は、元々の垂れ目をより下げる。ニヤニヤと笑いながら俺の肩をツン、と突いた。
「なぁんや、年上彼女のリカちゃんと楽しんだってことか。ウサマルも男やなぁ!!」
「バッ……うるさい!」
「ええなぁ。俺も年上の美人に、幸君にイイコト教えてあげる……とか言われたい!」
きゃーっと両手で顔を隠し、椅子の上で暴れる幸の頭を殴る。幸と仲良くなって1番困るのは、やたらと目立つことだ。
「でも、ほんまにリア充ええよなぁ……歩も無愛想なくせに、ちゃんと彼女おるもんな」
俺と仲良くなったことで、幸は自然と歩とも話すようになった。初めは警戒していた歩も、俺と同様に幸なら自分から話しかけるようになり、こうやって3人で過ごすことが多い。
まるで高校の時みたいだ。けれど幸と拓海は別の人間で、似ているようで違う。
そんなことをぼんやりと考えていると、恨みがましい幸の視線が俺と歩に降り注いでいた。
「なんでなん!2人とも、どうやって年上美人捕まえたん?!」
「ど、どうって言われても……」
まさか高校の時の担任の先生で、目の前の歩の家族で、しかも実は男ですなんて言えない。それは歩も同じだ。
幸の言葉を完全に無視しスマホを弄っている。
ふと、顔を上げた歩が俺を見た。
「慧、お前うち来るのいつだっけ?」
「ゴールデンウィーク入って2日目、だけど」
歩が切り出した話題に、俺は幸を相手している余裕などなくなる。なぜならゴールデンウィークに俺は牛島家……歩とリカちゃんのお母さんに会うからだ。
今までは歩の『友達』として会っていた人に、リカちゃんの『婚約者』として会う。
それを言い出したのは、もちろんあのドS変態で頭のぶっ飛んだリカちゃん本人だ。
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