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幸のせいで遅れをとった俺たちは、部屋の中ほどの席に腰を下ろした。もちろん、どこにいても目立つ赤毛の男に視線は集まり、俺は机に顔を突っ伏してそれを無視する。
この状態になった俺に幸はあまり話しかけない。俺が注目されんのを嫌がってるってわかるからだ。じゃあ髪を黒くしてくれよ……って思うけれど、多分それは無意味だろう。
黒髪だろうが、目立つやつは目立つんだって立証してやがる男が身近にいる。
講義が始まるまで残り10分ぐらい。スマホを弄っていた俺は、前の席に座っていた誰かが幸に話しかける声を聞いた。
「なあハッチ―。ちょい相談なんだけど」
「なになに?俺で良ければなんでも言ってみ」
俺の知らない男と話す幸の声を聞きながら指を動かす。
今日は残業で遅くなるから夕飯間に合わないって送ってきたリカちゃんに「わかった」とだけ返し、ゲーム画面に切り替えた。
「倦怠期ってさぁ、どうやったら抜けんだと思う?俺、今の彼女と付き合って1年でダレてきちゃって困ってんだよ」
「ほう。例えば?」
「デートも似たような感じで飽きるし、エッチも刺激がないっつーか……流れ作業?勃つけどドキドキはない」
よくこんな人目のあるところで赤裸々に喋れるな、と思う。けど俺が話しかけられてるわけじゃないし、聞こえないフリをした。
2つめのステージに進んだところで、手の中から急にスマホが消える。
「何すんだよ、幸!!」
その理由は、幸が俺のスマホを奪ったからだ。そして、それを自分のポケットに入れてしまった。
「おい返せよ、毛玉男」
「なあウサマル。今の聞いとったやろ?こいつと彼女ちゃんの話」
「それが何?俺には関係ないし」
「なんかアドバイスしたって。俺は彼女おらんし、ウサマルはリカちゃんと長いゆうとったやん」
……コイツは人の話を聞く気がないのか、それとも聞いてるけど聞きたくないのかどっちだろう。
関係ないと言った俺に対し「アドバイスしろ」なんて正反対の返事だと思う。
「なんで俺が」そう言い返そうとする前に、目の前に大きな手が現れた。それがいきなり、何を思ったのか俺の両肩を掴む。
「やっぱり兎丸って彼女いるんだ?!指輪してるし、女の子に話しかけられてもガン無視だから、そうかなーとは思ってたけど……」
「けど?」
なぜそこで切る?それがわからず首を傾げる。すると、俺たちの前に座っていた男は、照れ笑いをしながら、言い辛そうな口ぶりで答えた。
「あまりにも女の子に靡かないから、実はホモなんじゃないかって。ほら、法学部のキラキラと仲いいだろ?あれと付き合ってんじゃないかって噂がある」
法学部でキラキラ……思い当たるのは1人、牛島歩だけだ。
「それはない!!あんな性格悪い男は絶対やだ!」
否定した俺の声が部屋中に響く。思ったより大きな声が出てしまい、咄嗟に口を押えた俺に目の前の男がツッコミを入れる。
「その前にホモを否定しろよ!兎丸って実は天然?」
それは合っているから曖昧に笑って軽く流した。まさか歩じゃなくて、そのお兄ちゃんと付き合ってますなんて言えるわけない。
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