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翌日。幸プロデュースの元、倦怠期を抜け出そう作戦を始めた俺は、さっそく拓海に連絡をとった。
ゴールデンウィーク初日の今日は、リカちゃんは仕事があるからと学校へ行ってしまっている。
てっきりそういう事をするのかと期待した昨夜は特に何もなく、俺は先に眠ってしまったリカちゃんの背中を、思いきり蹴ってやろうかと思った。
俺は休みなのに!!ちょっと無理したって昼まで眠れたのに!!!
言えない気持ちを足に込め、振り上げたところでやめた。
……別に報復が怖いからじゃない。
「慧、いい加減にしないと俺だって怒るよ?慧が付き合ってくれって言うから、眠たいの無理して起きたのに!!」
「ごめん。ちゃんと考えるから」
俺が拓海を連れてきたのは、駅前にある大きな商業ビルだ。いろんなブランドの店があるここに来て、拓海に俺の服を選んでもらう。
いわゆる『イメチェン』というやつである。
普段なら俺が選ばないような、明るい色の服を拓海なら上手くコーディネートしてくれる。
メールでの連絡はとっていたけど、会うのは久しぶりで変に緊張した。
専門学校に行ってからの拓海は少し忙しそうで、色んなことを覚えるのに必死だって言ってた。それなのに、こうして休みの日に出てきてくれる拓海は優しい。
……けれど、ちょっとオシャレ過ぎてついていけない。
「これとー、これ合わせて。でもってこのベルトとか!」
そう言った拓海が俺に見せるのは、真っ赤なボトムスに白いTシャツ。そこにはペンキがぶちまけられたイラストが描かれていて、俺には派手すぎる。
いつも無難な色を選ぶ俺からすると、挑戦どころか冒険だ。それも果てしない大冒険。
「いや、それは派手すぎないか?」
「そう?リカちゃん先生の隣歩くなら平気だと思うけどなぁ。ぶっちゃけ、慧が何着ててもリカちゃん先生の方が目立つもん」
「いや……まぁそうだけど」
結局、俺が買ったのはダメージの入ったデニムに赤いTシャツと真っ白のスニーカーだった。
俺からしたらダメージデニムも赤色も勇気がいるのだけど、拓海は「普通」と辛辣な一言を落とした。
高校を卒業して、拓海はさらに強くなった気がする。
「んで?いきなり俺を変えてくれってどうしたんだよ」
買い物を終えてカフェへと来た俺たちは、通りに面したカウンターに並んで座る。
今日のお礼に買ってやったカフェオレを啜りながら、拓海が俺に問いかけてきた。
ごまかすか正直に言うか、それとも黙秘するか……悩む俺に拓海の視線が突き刺さり、その目がジト目に変わる。
「慧、嘘つくならバレないようにしろよ。嘘だってわかったら、その綺麗な髪を1本残らず刈ってやるから」
薄く笑って怖いことを言うのは、久しぶりの黒たっくんだ。
その降臨に、俺はすぐさま白旗を上げる。
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