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「じゃあさ、リカちゃん先生を試してみたら?」
「試す…ってリカちゃんを、俺が?」
聞き返した俺に、拓海は得意げな顔をして指を立てた。
「慧はまだまだ甘いな。恋愛っていうのは駆け引きなんだよ!押してばっかじゃダメ、時には引くことも大事……って本に書いてた」
「本かよ」
白けた目で拓海を見る。すると拓海は、立てたその指を左右に振った。
「でもさ、俺だって豊さんがグズグズしてるから引いて、でもって最後は押したじゃん?そういうのって大事だと思うんだよね」
あの堅物で意外と気の小さい美馬さんを上手く操っている拓海……認めたくはないけれど、恋愛に関しては俺や歩よりマトモなのかもしれない。
詳しく、と拓海を催促すれば更に偉そうな顔をしたバカ鳥はどんどん喋る。
「たとえば慧が他に趣味作るとか、友達の話するとか。でもここで注意すんのは、あくまでも友達ね!それがライクなのかラブなのか考えさせる時間が大事なんだよ」
「なんで?怪しければ怪しいほど良くね?」
どうしてそんな、まどろっこしい事をするのだろう。怪しい方が絶対に考えてもらえると思うのに……そう拓海に聞き返すと、自称恋愛マスターは見せつけるようにため息を吐いた。
「マジ慧は恋愛のことわかってない。黒よりもグレーの方がドキドキすんだよ!そこでリカちゃん先生が何も変わらなきゃアウト。逆に食いつけばセーフ」
よくわかんないけど、恋愛は駆け引きっていうのだけはなんとなくわかる。
「わかった。やってみる」
「おう!でも慧は嘘が下手だからなぁ……それにリカちゃん先生なら、すぐに気づきそうだし」
「んじゃどうすんだよ?」
イライラする俺を尻目に、1人楽しそうな拓海。
左右に首を捻りながら、何かいい案はないか考えて、パッと笑顔になる。
「そうだ!明日って先生と一緒に歩の家行くんだよな?その時に大学の話いっぱいしろよ。変に作らずに本当のことだけ」
「そんだけ?それで何か変わんの?」
拓海はそれには答えてくれず、ふふっと笑うだけだ。
意味がわからないまま解散の時間がきて拓海と別れる。
当然のように別々に風呂に入り、同じベッドで眠る。俺はスマホを弄って、リカちゃんはその横で本を読んで……少しして寝室の明かりが消えた。
何日も前から「挨拶に行く前日は絶対に触るな」と言っていたからか、今日もエッチはしない。
だけど。
寝る前の「おやすみのちゅー」がなんだか雑だった気がしたのは俺の思い過ごし……であってほしい。
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