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リカちゃんから仕事が終わったと連絡がきたのは、それから1時間近く経ってからのことだ。
そのメッセージに返信し、スーパーに寄るなら俺も行くと言い張った。
当然のように「駄目だ」と返ってきたけど、俺は財布とスマホを手に家を出た。
リカちゃんが寄るのは家と学校の間にある店で間違いない。間違いないだろうけど、念には念を入れることが必要だ。
スーパーの写真を撮り、それを送りつける。そうすれば、リカちゃんは絶対にここに来なきゃいけなくなる。
こういうのは先に行動したやつの勝ち。あとは勝ち逃げとばかりに、店の入口で待っていればいい。
「バカウサギ」
俺の予想通り、ちゃんとやって来たリカちゃんは少し怒っているようだった。ムッとしながら俺の髪をかき乱し、軽くため息をつく。
「リカちゃん怒ってる?」
チラッと上目遣いで見ると、リカちゃんは俺をジッと見た後、その目を和らげた。
「いや、怒りより慧君に1秒でも早く会えて喜んでる。でも、あいつを家に1人にしたくない気持ちもあるから少し複雑」
「それは大丈夫。家の物を少しでも動かしたら叩き出すって言っておいた」
「どこに何置いてるか覚えてんの?」
「全然。そんなの覚えてるわけないだろ」
それでも、何も釘を刺さないよりはマシなはずだ。自信たっぷりに言った俺に、リカちゃんは頭を撫でてくれた。
その手は自然と肩に移動し、2人揃って店へと入る。
カゴを持つリカちゃんの隣に並んで店内を歩く。新発売のチョコを1つ買って店を出ると、駐車場へと向かった。
エンジンをつけた車内でリカちゃんが見るのは時計。素早く買い物を済ませたからか、まだ家を出て30分ほどしか経っていない。
薄暗い駐車場に人はおらず、周りを確認したリカちゃんが俺を見た。
「慧君慧君」
微笑んだリカちゃんに呼ばれ振り向けば、伸びてきた手が俺の頬に触れる。ゆっくりと近づいてくるリカちゃんの顔がアップになって、静かに瞼を閉じた。
「……ん」
軽く触れて角度を変え、今度はしっかりと合わさる。条件反射で薄く唇を開くと、そこからリカちゃんが中へと入ってくる。
「あっ……ふ……んん」
絡まる舌を当然のように受け入れて、俺からもそっと差し出す。舌の上に乗った唾液をリカちゃんが奪えば、俺はそれを取り返す為にリカちゃんの身体を引き寄せた。
今までなら家のどこでだってできたキスは、今じゃ寝室かリカちゃんの仕事部屋でしかできない。鹿賀の前では絶対にしたくない俺は、リカちゃんが迫ってきても頑なに拒否していた。
でも今は違う。邪魔なやつはいないし、誰も俺を止めることはできない。
今日もきちんと着込んでいるスーツを掴み、もっと深いものを欲しがると、後頭部を支えたリカちゃんがより奥まで舌を突き入れてくる。
リカちゃんに触れた箇所が熱くて、重なった唇はもっと熱くて、絡み合う舌はもっともっと熱い。
甘くて深いキスは、俺を蕩けさせる。
静かな駐車場の静かな車内で、2人身体を寄せ合って。どちらも離れようとしないし、離そうとしない。
「リカちゃ…ん」
「やっばぁ……このまま押し倒したい」
「い、やだ」
「やだとか言われると、さらに燃えるんだけど」
俺の顔を隠しながらのキスは続く。きっと誰かに見られているんだろうけど、リカちゃんは俺を庇うようにして口付ける。
好奇の視線を受けるのもリカちゃん。周りに冷やかされたとしても、笑われたとしても、それを受けるのはリカちゃんだけ。
そうやって俺を守ってくれるリカちゃんが好きだ。
言葉にできない感情をキスに込めると、離れた瞬間にリカちゃんが囁いた。
「愛してるよ、慧」
久しぶりに聞くリカちゃんからの「愛してる」はやっぱり重たい。けどその重みが心地いい。
コクンと頷くとまたキスの雨が降ってきて、俺たちが家に戻ったのは、それから数十分経ってからだった。
リカちゃんがいない時間は長く感じるのに、リカちゃんと一緒にいる時間は一瞬で過ぎる。
もっと触れ合っていたくて伸ばした手は強く握られ、受け入れてもらえたことが、すごく嬉しい。
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