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服の中に入ってきた手は冷たく、触れる度に俺の身体は僅かに跳ねる。もう夏なのに体温の低いそれに怯むと、リカちゃんは優しく笑いかけてくれた。
「慧君の身体、温かいね」
「じゃなくて……っ、お前の手が冷たい」
「なるほど。それじゃあ、慧君が暖めて」
ぐるんと回転する視界と体勢。背後に感じていた重みが消え、目の前がシーツから人肌に変わる。
細い身体のどこにそんな力があるのか、俺を自分の上に乗せたリカちゃんが囁く。
「身体、起こして」
リカちゃんに言われて上半身を起こすと、自由になったそいつは自分の服に手をかけた。寝転んだまま器用に前をはだけさせ、綺麗な素肌を露わにする。
浮かんだ鎖骨から続くのは、細いんだけど薄くはない胸板。普段スーツを着ているから全く日焼けしていない白い肌に、俺の影が落ちる。
「そんなに見られると緊張するね」
緊張すると言ったくせに、触れた左胸から伝わる音は規則正しい。トクン、トクンと一定のリズムで鼓動を刻み、こんな時でも余裕だと告げてくる。
俺の方がドキドキしているぐらいだ。
「リカちゃんって、体温低いよな」
「そう?慧君が高いだけだと思うけど」
「若いからな。リカちゃんと違って」
「慧君、人が気にしてること言わない」
触れた肌は、やはり俺の方が熱かった。けれど合わさった場所から熱が通じて、同じ温度に変わっていくことが嬉しくなる。
俺がリカちゃんに合わせて、リカちゃんが俺に合わせて、2人の真ん中に変わっていくことが嬉しい。
「慧君の好きに触っていいよ」
そう言われて、恐る恐る手を動かす。
鹿賀はここには入ってこれないし、すぐに声を出してしまう俺と違って、リカちゃんは我慢するから大丈夫だと思った。それを我慢すると言うのは、俺の意地でもある。
きっとリカちゃんだって声が出ちゃうはず。
いつもは必死に我慢しているそれを、今日こそ出させてやろうと、晒された上半身を遠慮なく撫でた。
薄く割れた腹筋から始まり、わき腹を通って胸元へ。僅かに色づいた頂きに触れると、リカちゃんが微かに笑った。
「やっばぁ……慣れてなくて不思議な感じがする」
「不思議?気持ちいいってこと?」
「まあ、うん…悪くはないかな」
リカちゃんは俺に甘いけど、こういう時はもっと甘くなる。いい子だ、上手だと褒められ、俺の行動はどんどんエスカレートしていった。
いつも自分がされることを思い出しては実行する俺に、リカちゃんの眼差しは優しい。
ちゅ、と吸いついた肌は赤く染まる。軽く噛めば歯形が浮かぶ。けれどリカちゃんは、どれだけ肌を吸っても、噛んでも声を出さない。薄く笑って俺を見つめ、目が合えば「慧君」と呼んでくれるだけだ。
とは言うものの、リカちゃんが声を出さないことなんて慣れてる。もう何十回、何百回とエッチしてきたんだから、これぐらいで勝てるとは思っていない。
俺がリカちゃんの反応を更に感じられる場所。声を出すよりもわかりやすい『そこ』に手を伸ばす。
触れた瞬間に怯んだのは……俺だった。触った張本人のくせに、と言われたとしても、自然に手が引けたのだから仕方ない。
平然そうに笑って、余裕そうに俺を呼んで、涼しい顔で寝転んでいたくせに。隠されたところをしっかりと反応させていたリカちゃんに、俺の気持ちも昂揚する。
上目遣いでちらりと窺うと、緩く開いていた唇が弧を描いた。まるで、悪い秘密を共有するかのように、甘ったるい声で「慧」と落とされる。
「慧、もっと触って」
「でも……」
「いい子だから早く」
それは先生の時とも、みんなと一緒の時とも違う声。蜂蜜みたいな蕩ける声で俺を呼んで、きらきらした笑顔で俺を見て微笑むリカちゃんに、俺はこいつを好きなんだなって実感した。
みんなに見せつけたいような、誰にも内緒にしたいような…複雑な気持ちになる。
簡単に俺を捉えてしまったリカちゃんが、綺麗な唇を綺麗に歪ませた。その妖しげな笑い方にさえ胸が苦しくなって、俺の鼓動はまた速くなる。
「慧君慧君、早く慧君の中で暖めて」
そこから出てきたのが、引くほどの下ネタだったとしても。
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