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118 (R18)
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晒された後ろの蕾にリカちゃんが触れる。周囲の襞を撫で、ゆっくりと指先が入ってくる。けれど、それは深くまで来ることはなくて、入り口の浅いところを緩く広げるだけだ。
「慧君の、萎えちゃったね」
恐怖と戸惑いから萎んだ俺の性器を、リカちゃんは後孔を弄る手とは反対のそれで撫でた。思わず軽く喉が鳴るけれど、声が出るほどではない。
リカちゃんが緩くにぎったそれを扱く。そこを刺激されれば大きくなるのは生理現象だ。
前も後ろも物足りない。声を殺しても鼻から吐息が漏れる俺に、リカちゃんは笑って手を離した。
背後で身じろぐ気配がする。この後の展開をわからないほど俺は経験不足ではないし、もう何度も同じことをしてきたんだから『気づかなかった』では済まないだろう。
それでも嫌だなんて言えない。
ここで俺が「嫌だ」って一言でも言えば、リカちゃんのしている行為は絶対に許されないことになってしまう。
だから言えない。言っちゃ駄目だと唇を噛み締める。
不意に、さっきまでとは正反対のことを考えている自分に呆れてしまった。
ちょっと悲しそうな顔をされたからって、許してしまうなんて俺はリカちゃんに甘すぎるんじゃないか。
「逃げないんだ?」
俺の腰を支えながらリカちゃんが訊ねてくる。けどその手にも声にも力は入っていなくて、本当にどうでもいいと思ってるんじゃないかと疑ってしまう。
「さっきみたいに嫌いだ、やめろって叫んで殴ればいいのに。じゃないと同意になっちゃうよ?」
まるでそれを願っているかのような台詞。無言で首を振る俺に、リカちゃんは嘲笑の息を漏らした。
「慧君は優しいね。本当に優しい」
「リカ、ちゃん?何言って……」
「なんでその優しさは、俺には向かないんだろうね」
腰を掴むリカちゃんの指に力が入る。肌にめり込むんじゃないかと思うほどの指圧に眉を顰めると、熱い痛みが全身を襲った。
つま先から脳天まで、それは一気に走り抜ける。
「……っひ…い……ん、あぁ──!!」
ぐん、と押し開かれた後孔が悲鳴を上げ、こめかみを汗が伝う。小刻みに呼吸を繰り返す俺の上で、リカちゃんが低く唸った。
「狭い……っ、痛い、ね」
そりゃあリカちゃんだって痛いに違いない。ほとんど準備のない状態で貫かれ、ぎちぎちに引き攣った蕾は中のものをきつく締め付けているのだろうから。
浅い息を吸って吐く俺とは違い、リカちゃんは落ち着いて深呼吸をする。何度目かのそれが終わった時、中を穿っていたものが動いた。
もっと奥まで来る。硬く閉ざされたままの内壁を抉り、無理にこじ開けてくる。
「──っく……はっ」
短く落ちるリカちゃんの吐息。痛いのならやめればいいのに……今すぐやめてほしいのに、リカちゃんは一向に腰を止めようとしない。
意地なのか、後に退けないのか、それとも退いちゃ駄目な理由があるのか。俺にそれはわからない。
強引に開かれた蕾が痛くて、その中が熱くて、その奥の奥が疼く。
滲んだ視界に映る両手は縛られたままで、それら全てを俺に与える張本人がリカちゃんだってこと。
今の俺にわかるのは、それぐらいだ。
衣擦れの音と、結合部分の水音が鳴り響く部屋。ベッドの上でもソファでもなく、床で何をしているんだろう。どうして俺は縛られて、後ろから犯されて逃げないんだろう。
そんなことを考えている頭に、直接声が送り込まれる。
「慧、慧」
腰を打ちつけながら俺を呼ぶ声。別に何かを訊ねられているわけでもないから、俺は答えない。痛みと快感に耐える為、息を吐く。吐いてなくなった分を吸う。それだけ。
リカちゃんは俺の名前を何度も口にするけど、それは俺に言ってるんじゃない気がした。自分で自分に言っているような、そんな感じだった。
リカちゃんに俺は見えてないんじゃないか…なんて、現実逃避もいいところだ。
「あっ、あ……ん、んぁ」
自然と矯声が漏れれば、腰の動きが激しくなる。初めの硬さを忘れた蕾は中のものを包み込み、柔らかくなった奥へと誘う。
スムーズになった抽送に夢中だった。手首を縛るネクタイに皺が寄って、俺の描いたうさぎが見えなくなっても気づかなかった。
「んん……んっ、ああっ、いぁっ」
固い切っ先が前立腺を掠め、俺のものから白濁が飛ぶ。勢いよく飛んだそれは、フローリングの木目を汚して小さな水たまりを作って終わった。
やっと、やっと終わった行為に力が抜けて、息を吐く。
ゆっくりと出ていったリカちゃんは、中に何も吐き出さなかった。罪悪感からやめたのかもしれないし、痛くてそれどころじゃなかったのかも。
もしかしたら、俺が気づかないうちに隠れて出してたりして……と考えて、やめる。そんなわけないから。何度も受けた熱さを忘れるなんて絶対にありえない。
もう何もわからない。俺にはリカちゃんがわからない。
音を立てて出て俺から出て行くリカちゃんも、横たわる俺を放ってシャワーを浴びたリカちゃんも。
ごめんと小さな声が聞こえたのが気のせいなのかも、内鍵は開けておいてと言われた意味も。
何もわからないまま、俺は部屋に1人になった。
気づけば手首の拘束は解かれ、忌々しい青のネクタイがなくなっていた。
しばらくしてシャワーを浴び、新しい部屋着に着替える。1人きりのリビングで膝を抱えて座っていると、ガチャリ、とやけに大きな音を立てて玄関扉が開く。
「…………泣いてるかと思いました」
どうして帰ってきたのが鹿賀の方だったのか、それすらわからない。
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