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背けた顔を追いかけるように覗き込む。するともう赤みは引き、いつもの無駄に綺麗なリカちゃんだった。
それが悔しくて、より深くまで探ってやろうと口を開く。
「リカちゃん、役目って何?またなんか変なこと考えてんの?」
「言わない。いくら慧君でも、これだけは秘密」
「秘密にされると余計気になるんだけど……」
「とにかく。俺は、鹿賀のことを俺の口から説明するのが絶対に嫌だったわけ。それなのに鹿賀はなかなか言わないし、でも隠し通せそうもないし……そのうち慧君の怒りは全部俺に向くし。どうしようかと考えを巡らせていたら、歩まで首を突っ込んできて、もう滅茶苦茶だよ。結果、みんなが好き勝手爆発してここまで揉めた。以上」
強引に話を終わらせ、手を離したリカちゃんが立ち上がる。俺は咄嗟にそのスーツを掴んで引き止めた。
ここで逃げられたら、怒られ損だと思ったからだ。
「以上じゃねぇ。なんで俺が怒られたのか教えてもらってない。ただの嫉妬だとか言いやがったら殴るぞ」
逃げようとするリカちゃんを捕まえて、また隣に座らせる。今度は俺がリカちゃんの腕を握りしめ、これで形勢逆転だ。
ぐいぐいと詰め寄る俺に、リカちゃんがため息をつく。そして渋々…本当に嫌そうに顔を顰めて言った。
「俺が強引に迫った時、慧は鹿賀のことばっかり考えて俺のこと忘れてただろ?警戒心なくして仲良くして、俺に他人の手料理食べろなんて……ただでさえ仲睦まじい様子を指銜えて見ていたのに、拷問かと思った」
「それだけ?それだけで、あんなに怒ったのか?!」
「自分の思い通りになればなるほど苛々した。なんで慧はこんなにも簡単に心開くかなって考えて、気づけば押し倒してた」
気づいたら人を襲ってる男が、現役の教師なんてしていていいのだろうか。次々に出るリカちゃんらしくて、けれど理解できない言葉に俺は頭を抱えるしかない。
「あれがなかったら俺の暴走もマシだったかもしれないのに……!!いや、俺も悪いかもしれないけどな。確かに鹿賀とはすぐに打ち解けたけど!でも!」
「結果として、慧君が暴走してくれて助かった。あれがなきゃ、俺はもう鹿賀を見放してたと思う。慧は思い込んだら人の話は聞かないし、一度決めたら壁にぶつかるまで突っ走るからね」
「それは否定できない……」
「お前が鹿賀と仲良くなることも、俺より鹿賀を庇うことも想定内だ。それを鹿賀が勘違いして慧君に手を出していたら、容赦しなかったけどね。たとえ生徒だろうが子供だろうが、その場で踏み潰すぐらいは余裕でしただろうな」
物騒なことを言いのけたリカちゃんが、ふっと笑う。俺はそれを見て、軽い嫉妬で収まっていて良かったと思った。リカちゃんが本気で嫉妬したら、俺も鹿賀もどうなっていたかわからない。
器が大きいのか小さいのか、いまいち判断つかないリカちゃんは続ける。
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