アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
204
-
「ほらほら慧君、脱ぐか帰るか早く決めなよ」
黒い笑みをそのままに、魔王リカちゃんが詰め寄ってくる。伸ばされた手を払うと乾いた音がして、俺は鋭く睨みつけた。
「触るな変態!リカちゃんがそんな交換条件出すなんて思わなかった、最低!」
「変態?」
「変態じゃねぇかよ!こんな……こんな、こんな風に追い込んでまでエッ……エッチしよう、なんて!!」
ぎゅっと目を瞑って言い放つと、訪れるのは沈黙だ。
誰の声も聞こえない校舎、部屋が静寂に変わり、それを破ったのはリカちゃんの吹き出した笑い声だった。
「ふっ……なに、慧君そんな勘違いしたんだ?俺はただ、そのままだと気持ち悪いだろうから、とりあえず着替えればって意味で言ったんだけど」
「は……へ?」
「いや、だってソファまで汚されると困るし。服は買い替えれば済むけど、さすがに学校の備品を汚すのは駄目だろ」
笑いを堪えることなくリカちゃんは口を押さえ、肩を震わせる。てっきり『そういう意味』だと思っていた俺は、羞恥で真っ赤になった。
だって、誰だってあんな言い方をされたら勘違いすると思う。しかも相手はリカちゃんだし、リカちゃんなら言ってもおかしくない。寧ろ、喜んで言いそうだ。
「っ、この性悪!!それならそうと、変な言い方してんじゃねぇよ!」
「慧君が驚くかなぁと思って。それに、あわよくば脱いでくれたら楽しめるし……色々と」
「色々と?!」
「あ、そこ知りたい?知りたいなら、もちろん教えてあげるけど。全身を使って」
その色々が何かを聞くのが怖い。聞いたら後に戻れない気がして、何もなかったことにしてしまおうと思った。
黙って負けを認める俺の肩にリカちゃんの手が乗る。
「で、そのままでいるのも問題だし、今からシャワー浴びに行く?」
「今から……って大丈夫なのか?」
「まあ大丈夫なんじゃない?今頃みんな、職員室で和気あいあいと飲んでるだろうしね」
そこにリカちゃんは参加しなくていいのだろうか。仮にも生徒会の顧問をしていて、学年でも偉い方の人なのに……。けど、きっとリカちゃんは俺がここにいるから断ってくれたんだと思う。
仕事をするからとか、体調が悪いからとか適当な理由をつけて、何とかしてくれたんだろう。
「ほら行くよ」
宣言通り、替えのジャージを掴んだリカちゃんが俺を呼ぶ。部屋から出たら誰に会うかもわからないし、誰かに会ってしまえばアウトだろう。
「リカちゃん、マジで大丈夫?」
「慧君が今夜は俺と一緒にいたいって言ったんだろ?」
「誰もそこまでは言ってねぇ」
「言葉にしない気持ちが伝わるなんて、やっぱり俺と慧君は運命の相手だね」
どこまでも自分らしく解釈した我が道を行く教師は、着替えを右手に、懐中電灯を左手に手招きした。
「ついでに見回りも済ましちゃって、ゆっくりしよう」
「見回り?」
「そう。他の先生が楽しんでる中、真面目に見回りする俺って良い先生」
カチカチ、と懐中電灯を点けたり消したりして遊ぶリカちゃんだけど、明るい室内じゃ何をしてるのかよくわからない。
そんな、よくわからない事を楽しむリカちゃんが、すごく楽しそうで悪戯な、先生らしくないお誘いをする。
「夜の学校でデート、慧君はしたくない?」
バレるかもという心配と、夜の学校という普段じゃ見ることのできないものに惹かれる興味。それを天秤にかけた俺は、立ち上がる。
そして結構早い段階で後悔した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1021 / 1234