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210 (R18)
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「慧君、手はここ」
ほとんど力の入らない俺の身体は、リカちゃんが与える愛撫を上手く受け取れない。何かされる度に落ちそうになって、それをリカちゃんが支えるから一向に進まなかった。
まだジャージの前を開けられただけ。それなのに、俺の体力はかなり消耗してしまっている。
「リカちゃん、別にここにこだわらなくても……戻ってからすればいいのに」
科目室にだって思い出はたくさんある。それでもリカちゃんは納得してくれず、俺の腕を自分の首へと導いた。
「やだ。リカちゃん待て、ちょっと待て」
「ん?」
「なんか通った。今、廊下を何かが……ちょっと待てって」
廊下の向こうに何かの気配がして、リカちゃんにストップをかける。すると、首元に吸いついていた顔が上がり、その瞳は恨めしそうな色をしていた。
「慧君、俺だけを見ろって言ったのに。よそ見してんな」
「だって。だって今、絶対に何かが……!」
「何も通らないって。はい、こっちに集中して」
「でも!」
そうは言われても、気になるものは仕方ない。ちらちらと視界に入ってくる廊下がどうしても忘れられず、俺の意識はそっちにいったままだ。
「慧」
低い声で俺を呼んだリカちゃんが目を細める。
「言うことを聞けない悪い子は、痛い目を見るよ」
「──!!いっ……痛いっ」
突然噛まれた乳首に電流が走る。それは甘噛みのはずなのに、わざと尖った歯で挟まれたから痛い。
鋭く痛くて、けど鈍く気持ちがいい。痛みの奥の方に確かな快感を見つけ、視界の廊下が霞む。
「あっ……ん、あぁ、やっ」
ちろちろと肌を這う舌がもどかしくて、リカちゃんの頭を抱えこむ。すると胸の中に収まっていた顔が、もぞりと動いた。
「んっ……ひ、ああっ」
鼓膜を揺さぶる水音。吸いつかれた時に感じる刺激。唇が離れた時に訪れる解放感。
吸っては放してを繰り返され、声と息がどんどん荒くなる。
「や、やだ。もう吸う、な……っあ」
「やだが嫌。こっちを見なかった慧君へのお仕置き」
「ひ、あっ、あっ……うあ、あぁ」
腕からも力が抜けて、身体が沈んでいく。実際には教卓という狭い場所にいるから、沈みはしないんだけど。とにかく、もう何もできない。
リカちゃんの頭にしがみつき、支えてもらってなんとか座っていられる状態だ。
「慧君、動きづらいんだけど」
「無理……もう、力が入んなくて、ん、くっ…んう」
上半身を投げ出す俺に、リカちゃんは責める手を止めない。さすがに唇での行為はなくなったけれど、その長い指がさらに追い込んでいく。
「やだ、リカちゃん、落ちる……んぁっ、落ちる、から」
震える指でリカちゃんの髪を掴み、なんとか逃げようとする。けれど、全くと言っていいほど力の入っていない抵抗には何の意味もない。
「おねがっ……怖い。怖い、リカちゃん」
「怖い……か。それは困る」
俺の両脇に手を宛がったリカちゃんが力を入れる。静かに身体が浮いたかと思えば、俺の足は地面に触れていた。
教卓に背を預け、凭れながらリカちゃんと向き合う。
「怖かったよな、悪い」
謝ってくるリカちゃんは少し悲しそうで、自分のことを怖がっているのだと勘違いしているんじゃないかと思った。
変なところで自信がなさすぎるリカちゃんなら、そう思っても仕方ない。
「別に。怖くなんてないし」
「……うん」
言葉と態度が真逆なリカちゃんに苛々する。さっきまで、あんなに乗り気だったくせに、その手が俺に触れようとしないことが腹立つ。
いくら触れ合うのが無理矢理だった時以来だからって、いつまで引きずってんだよって言いたくなって、どうやら言ってしまっていたらしい。
「いつまで引きずってんだよ、このヘタレが」
しかも余計な一言を付け加えていたらしい。そんなつもりはなかったのに、なかったのに……。
「ヘタレ、ねぇ。ヘタレか……慧君にはそう見えるんだ?へぇ」
薄暗い場所でもわかるぐらい、リカちゃんの微笑みが妖しくなった。俺になら何をされても、何を言われてもいいって言ったのに、リカちゃんは嘘つきだ。
そんな嘘つきが、今まで見せていたものとは全く違う表情を浮かべる。
「愛しの慧君にヘタレだと思われてるなんて、情けない。これは汚名返上しなきゃ駄目だな」
その妖しい微笑みと勝気な視線に、やってしまったと激しく後悔した。
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