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12.行方不明のパンツ君
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いつもの倍量のシャンプーを使って洗った髪は、いつもより艶々している……なんてことはなかった。いつもと変わらない洗い上がりに、なかなか流れ落ちなかったシャンプーと湯を無駄遣いしただけだ。
それでも、なけなしの意地で時間をかけてシャワーを済ませた俺は、最後の最後で運が悪かったらしい。普段なら洗濯し終えた下着が入れてあるバスケットの中が空っぽだったからだ。
「もしかして……これってリカちゃんの嫌がらせか?」
そんなことが一瞬だけ脳裏を掠めたけれど、さすがにいい歳をした大人がこんなくだらない悪戯をするわけがないだろう。
たとえ相手が頭のおかしい男代表だとしても、だ。
「別に寝るだけだからいいか」
下着を履かずに服を着るのは、なんだか居心地が悪い。別に誰にも注意されることじゃないのに、悪いことをしている気分になるのは、なぜだろう。
それはきっと、俺にはまだ常識が残っているからだと思う。
いくらリカちゃんと長く過ごしていたって、俺はまだマトモだ。あいつなら下着があろうが無かろうが、気にもしないはず。絶対に、あの澄ました顔でノーパンで過ごしやがる。
でも、俺にそれは無理だ。まるで何もなかったかのように、普段通りの自分でいるのは難しい。
けれどわざわざ下着をとりに部屋へ行くのも面倒で。それならば、このまま寝室に直行し、明日の朝に着替える時に履けばいいという結論に至る。
何よりも、疲れ果てた身体が早く休ませろと訴えていた。
「でも……なんか、変な感じ……気持ち悪い」
ノーパンによる開放感とか、そんなものは全くない。
率直な感想は、裾から入ってくる空気が生暖かく、快適とは言えなかった。
いつもよりも歩幅が狭くなってしまっているのを自覚しつつ、でも、やっぱり着替えるのは億劫すぎて嫌で。自分をごまかし、気にせずにいようと決めた……の、だけど。
それが間違いだった。
「慧君、せっかくだからマッサージしてあげよう」
すっかり忘れていたのは、リカちゃんの存在。
俺の下着を隠したのかもしれない容疑者が両手を広げて微笑み、言葉を重ねる。
「風呂上がりの慧君の破壊力……恐るべし、だね」
本当に恐いのは、てめぇの頭の中だろと言い返しそびれた俺の肩から落ちたタオル。
それでをリカちゃんに投げつける元気すら、今はない。
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