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40.正しい想いの伝え方
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「リカちゃん」
訳の分からない主張を続けるリカちゃんを呼ぶ。すると、すぐにそれを止めて俺の言葉に耳を傾けてくれた。
「慧君、どうした?」
いつだってリカちゃんは俺に応えてくれる。だから俺は、安心してリカちゃんの名前を呼ぶことができる。
「別に大した用はないんだけど……ってか、ヤらないなら俺もう寝たいんだけど。リカちゃんと違って育ち盛りだから、睡眠時間は大切だし」
言葉だけの強がりにも笑ってくれるし、嫌味を言っても本気では怒らない。今だって最後のは軽く流して聞かなかったことにしてくれる。
……年齢には触れられたくないだけかもしれないけれど。
「それは難しいお願いだね。いくら慧君の頼みでも、ここで俺が引くと思う?」
「思うわけがないから言ってんだろ。どうせお前が動くんだから、さっさとしろよ」
「なんだか慧君が初心を忘れちゃったように感じるけれど、そんな慧君もまた違った意味で愛おしい」
「お前は全くブレねぇよな。俺も違う意味でリカちゃんが愛おしいわ」
本当は同じ意味だということを伝えるために、リカちゃんの髪を引っ張る。するとリカちゃんはやっぱり怒ることはなくて、逆に笑われた。
痛いから離せと止めることもなく、俺の思うまま従ってくれる。でも言葉代わりの手が服の中に入ってきた。
「俺は慧君しか好きになれない病気なのかもしれない。兎丸慧のいない時間なんて、1秒たりとも耐えられないって断言出来るからね」
裾から侵入したリカちゃんの手が肌を滑り、脇腹を上がっていく。細い指先が胸にある敏感な箇所へとたどり着くと、そっと爪が立てられる。
「んっ……リカちゃん。そこ、触られるのやだ」
零れた俺の声も、震えた吐息も、次を期待して熱くなった体温も。全てがリカちゃんに飲み込まれていく。
俺の全てが、リカちゃんだけのものになる。
「あ……っ、や……やだ。胸、くすぐったい」
「ここ、可愛がってあげるのは久しぶりだもんね。でも慧君ならすぐに慣れるよ。きっと前よりも気持ちよくなって、しばらく忘れられない」
「そんなことない。ないに決まって……あっ、やだやだ。そんなに強く触んな」
「ほらね。こうして抓ると、思わず身体が跳ねちゃうでしょ。やだやだも止まらなくなって、慧君の癖がどんどん出ちゃうね」
小さく跳ねた腰がリカちゃんに擦り寄り、俺たちの身体がより密着する。素肌に触れるシャツは何の温もりもないのに、その内から伝わってくる体温に安心する。
リカちゃんが目の前にいる。
リカちゃんが俺に触れてる。
リカちゃんが、俺だけを見てる。それを実感した時、また身体のどこかがモヤモヤし始めたのを感じた。
──失うのが怖いなら、リカちゃんから余分なものを全て奪えばいいんだ。
突然、頭の中で声がした。それは誰にも言えない心の声。俺自身の声が、声量を増して脳内に響く。
リカちゃんから全てを奪えって。
そうすれば不安も消える。嫌なことも忘れられるし、リカちゃんなら笑って許してくれる。
「リカちゃん」
首に抱きついて、軽く深呼吸をして。勢いにまかせて最後まで一気に続ける。
「リカちゃん、もっと。もっとリカちゃんが欲しい。リカちゃんの全部が欲しいんだけど」
雰囲気だけでリカちゃんが嬉しそうに笑ったのがわかった。何度も見てきたリカちゃんの笑顔を思い浮かべる
、チクンと胸が傷む。
昔と変わらず『好き』なはずなのに昔とは違う。
今の俺の『好き』は、何色も混ざりあってできた濁った『好き』だ。
「俺も、リカちゃんが…………好き」
ほら。また胸が痛い。
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