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81.幼馴染ホットライン
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俺を見た2人が顔を見合わせる。でもそれは一瞬のことで、何も言葉を交わすことはなかった。
「ねえウサギちゃん。これからお仕事?」
にっこりと笑った桃ちゃんに訊ねられ、俺は首を振った。
「ううん。今日は休みなんだけど特に予定なくて。なんとなく外に出ようかなって」
「あら珍しい。ウサギちゃんもインドア派なのにね」
俺もってことは、他に誰を含むんだろう。リカちゃんはインドアなのか微妙だから、歩……だろうか。
でもそれを桃ちゃんには聞けなくて、曖昧に笑う。すると桃ちゃんは「そうだわ」と続けた。
「豊がランチを奢ってくれるらしいんだけど、ウサギちゃんも一緒にどうかしら?」
ウインクを1つ落とし、誘ってくれた桃ちゃん。先に反応したのは俺じゃなく美馬さんだった。
「は?そんな話はしてないだろう。それに、奢るとすれば手伝わせてるお前の方だと思……」
「相変わらずうっさいわね。もうちょっと図体に見合った大きな心を持ちなさいよ」
「桃は相変わらず横暴が過ぎ……」
「あらぁ。あたしに逆らう気?いいわ、豊がその気ならもう何も手伝ってあげない。たっくんとのデートがあったとしても、あたしはもう何も手伝ってあーげない」
ふふん、と鼻で笑って桃ちゃんが言う。
「可もなく不可もない服を着て、可もなく不可もない場所に行って、可もなく不可もない食事をして、可もなく不可もないデートを繰り返せばいいわ。そんな面白味のないあんたにたっくんが飽きて、牛乳まみれのボロ雑巾のように捨てられちゃえばいいのよ!!」
声高に言った桃ちゃんの背後に「ほほほほ」なんて効果音が流れている気がした。リカちゃんとは違った意味でぶっ飛んでいる桃ちゃんに、美馬さんだけでなく俺も呆気にとられる。
「何が美しい馬よ!あんたなんてねぇ、乗り捨てられて山へ帰ればいいわ!」
「馬は山には住まないと思……」
「木陰に隠れてひっそり生きなさいよ!」
「いやだから……ああ、わかった。わかったから、これ以上騒ぐな。近所迷惑になりかね……」
「分かればいいのよ!!」
確かに桃ちゃんはうるさい。でも、そんな桃ちゃんが好きだ。桃ちゃんに振り回されながらも、面倒をみている美馬さんが好きだ。
俺は、この2人は好きだ。
「美馬さん。俺も片付け手伝うから、一緒に連れ行ってもらっていい?」
桃ちゃんの奇行に頭を抱えている美馬さんに話しかけると、柔らかい笑顔で頷いてくれた。
その隣に立つ桃ちゃんは、なぜか俺たちの家のドアを睨んでいた。
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