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「とりあえず食ったら出かけるから早く食え」
視線は手元に落としたまま獅子原はそう言う。
「勝手にどこにでも行けよ」
「俺だけじゃなくてお前も一緒にな」
「行くわけねぇだろ。なんでお前と出かけなきゃなんねぇんだよバーカ」
手元を見ていた視線が俺に向く。
その顔はこの短時間で何度も見た自信に溢れている。
「まだ逆らうんだ?」
「逆らうってお前に従った覚えねぇんだけど」
こうやって一緒に飯を食ってんのも脅されたからだ。決して自分から進んでじゃない。
「本当に生意気。聞いてたのと全然違う」
小さすぎて聞こえなかった声。
箸を置いた獅子原は頬杖を付き目を眇めた。
偉そうとは違う少しだけ柔らかい表情。
けれどそれは一変して元の自信たっぷりで意地悪な顔に変わる。
「こんなに生意気な生徒には、これからも厳しくしてくれる先生が必要だよなぁ…」
「なにワケわかんねぇこと言ってんの?」
1人で喋って1人で頷いている獅子原に問いかける。
楽しそうに笑った獅子原は迷うことなく答える。
「来年も俺のクラスにしてコキ使ってやろうか?
学校でも帰って来てからも俺専属の下僕として可愛がってやるよ」
冗談にしか聞こえないセリフ。
けれどそれを言う獅子原の目が真っすぐに俺を見つめるから、コイツならやりかねないと思ってしまう。
…やりかねない、じゃない。
コイツはやる。なぜかそう言い切れる。
俺は獅子原を完全に無視し、取り分けてもらった分を食べることに集中した。
それは俺なりの抵抗だ。
「黙るってことは、俺の下僕にほしいんだ?」
「んなワケあるかバカ。お前にコキ使われるぐらいなら出かけたマシ」
コイツの下僕になんかなったら何されるかわかんねぇ。
間違いなく言い切れる。
獅子原は笑いながら人を追い込む天才だ。
「なんだ残念。まぁお楽しみは後にとっておくか」
意味ありげにニヤッと笑った後、獅子原は箸を持ち直し、また食べ始める。
男二人で黙って食えば、目の前の料理はどんどん消えていく。
チラッと盗み見た獅子原は、豪快に、かつ綺麗に食べていた。
このルックスで料理が出来るなら、どっか女のトコにでも泊めてもらえばいいのに。
いくら性格が悪くて偉そうでも顔さえ良けりゃ簡単に股を開く女なんて腐るほどいる。
わざわざ男で生徒の俺のベッドで寝る必要がわからなかった。
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