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獅子原に連れてこられたのは少し離れた所にあるショッピングモールだった。
「ここなら他のヤツに見られないだろ。一応お前は俺の生徒なんだしな」
「じゃなくてお前が一応俺の担任な」
「今度お前って言ったらお仕置きだから。
それと苗字呼び捨てもダメだから。」
じゃあ何て呼ぶんだよ…獅子原先生とか?
長すぎて面倒くせぇな、おい。
「学校じゃ先生付けてもらうけど、それ以外なら名前でいいよ」
「は?名前?」
「寧ろ先生ついてる方が困るし」
それもそうだ。こんなところで『先生』なんて呼んだら目立つに決まってる。
だからって…名前で呼ぶか普通?まぁ『獅子原さん』なんて死んでも呼びたくねぇけど。
っつーかコイツの名前……あ、確か。
「リカ?」
そうそう。リカちゃん先生って拓海が言ってた。
それを思い出して口にすれば獅子原は何故か渋い顔をする。
「俺の名前リカじゃなくてアキヨシなんだけど」
「でもリカちゃん先生って…」
「そう読めるだけだっつの。男でリカはねぇだろ」
獅子原は『理佳』って漢字だと教えてくれた。
そう読めるっつーより、そうとしか読まないと思う。
この字を初めて見てアキヨシって読めたヤツは天才だ。
「んじゃリカちゃん」
「だからリカじゃねぇって言っただろうが」
「いいじゃん。学校で『リカちゃん先生』って呼ばれてんだし。
名前ぐらいでグチグチ言ってると文句多くて器の小せぇ男だと思われるぞ」
リカちゃんは少し考えた後、髪を掻き上げ諦めたようにため息をつく。
器の小さい男と思われるのがよっぽど嫌なんだろうか。
「…………もういいよ。お前と先生以外なら何でも」
そう言ったリカちゃんは、俺を置いてそそくさと行ってしまう。
けれど少しして「早く来いよ」と振り返るあたり、面倒見がいいと思った。
こういうのマジで面倒くさいし苦手だ。
俺は俺のしたい時にしたい事をしたいようにする。
それなのに、リカちゃんのペースに乗せられてても本気で嫌だと思わない自分が不思議だ。
「目当ての店どこ?」
スタスタ歩くから詳しいんだと思っていたら、着いたのは喫煙所。
「とりあえず一服してくるから待ってろ」
「車で吸えば良かったじゃん。匂いしてたから気づいてたし」
「お前が横にいんだから気遣ってやってたんだよ」
リカちゃんが俺と目線を合わせ、コツンと頭を小突く。
なんだろコイツ…………やたら慣れてる気がする。
俺は男だからときめいたりしねぇけど、女のツボみたいなん押さえてるわ。
これが女だったら完全に落ちてるに決まってる。
だって女って、ちょっと偉そうなイケメンに弱いんだろ?
だから歩がモテるんだって拓海も言ってたし。
モテ男怖ぇ。
俺様怖ぇ。
近くの自販機で買ったココアを飲みながら、俺はリカちゃんがタバコを吸うのをぼんやり眺めていた。
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