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「おし。これで参考書も揃ったし、さっさと帰るぞ」
そう言ってリカちゃんは俺に買ったばかりの袋を差し出す。
「…なんでテメェの荷物を俺が持つんだよ」
「コレ全部お前の参考書だけど。何で俺が参考書いると思うんだよ」
「はぁ?!」
「あのなぁ…お前の成績なんて全部知ってるっつーの。
俺が隣に住んでて赤点取らせると思うか?」
つまりは、だ。
コイツは俺に勉強を教えるつもりなのか?
自慢じゃないが俺はバカだ。
授業はサボりまくりだし、気まぐれで出ても寝てるかゲームしてるし。
同じように歩も拓海もバカだから気になんねぇし、そもそも気にするような性格でもない。
「勉強なんかするかよ、バーカ」
「バカはお前だ。このままじゃ2年には上がれても3年はなれねぇぞ。ウチの学校はそんな甘かねぇんだよ」
俺が通う雀々丘高校は、頭が悪かろうが遅刻が多かろうが1年から2年には進級できる。
しかし、それでも改善がみられない場合、3年にはなれない。
今までの自分を改めるか、辞めるか。
そのどちらか一方を強制的に選ばされるのだ。
「このご時世、最低でも高校は出といた方がいい。
この俺が特別に家庭教師してやんだから有難く思え」
「思うか!」
「あ、勉強教えてる時は先生って呼んでもいいからな?
その方が色々と燃えんだろ?」
ニヤリと笑った顔を見て、俺は本当にとんでもない状況にどっぷり浸かり込んだ事を改めて認識した。
*
リカちゃんは俺様で自分勝手で偉そうだとは思っていたけど、ドSでもあった。
参考書を前に固まる俺に全くの容赦はない。
説明して一緒に解いて、最後は1人でやらせる。
間違えてたら丁寧に説明してくれる…が、これは2回目までの話だ。
3回目ともなれば、その端正な顔をこれでもかと歪ませ、罵詈雑言を浴びせられる。
リカちゃんに仏の顔は2回しかない。
とは言うものの、さすが本職だけあって教えるのが上手い。
担当の英語はもちろん、生物や古典も要領を押さえた的確な教え方をしてくれる。
その中でも特に数学。
数学に至っては、どうしてこうなるのか、どうすれば間違えないのかを教科書以上にわかりやすく説明してくれる。
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