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「なぁ…リカちゃんって数学得意なの?」
「あー…得意ってか好き。数学って面白いだろ」
「いや、面白くもねぇし俺は嫌いだけどな」
こんな数字ばっかで何を聞かれてんのかわかんないヤツの何が面白いんだ。
これを解けたからって将来役に立つとは思えない。
足し算、引き算、掛け算、割り算。これができたら十分だと思う。
「わかってねぇなぁウサギは。数学ってみんなが1つの答えに向かって解いていくだろ?途中で諦めたり、間違ったりするヤツが出てくる。その中で答えに辿り着くって快感じゃね?お前らが解けねぇの解いてやったぞ…ってな」
……ほらな。リカちゃんはドSだ。
「じゃあなんで英語の先生なんだよ」
もちろん俺は英語も好きじゃない。
日本から出るつもりなんて無いから俺には必要ない。
「さぁな…………忘れた」
「は?忘れたってまだ数年しか経ってねぇだろ」
「忘れたモンは忘れたんだよ。それより手動かせよバカウサギ」
ペシンと頭を叩かれ、俺は全く解けそうにない問題に勝負を挑んで……完敗した。
「クソわかんねぇ。まず、わかる気がしねぇ」
「順番に解いてきゃいいんだよ。ここ計算したら、ここ。それで、次。
そしたら答えは絶対に出る。このページ終わったら飯にするから頑張れよ」
「俺腹減ってないからいらねぇ」
っつーかこんな文字ばっか見た後に何も食いたくない。
それより今すぐ寝たい。もちろん1人で。
「お前それ以上痩せてどうすんだよ。
とりあえず俺なんか食ってくるから、5問ぐらいは終わらせとけ」
そう言って部屋をリカちゃんは部屋を出て行った。
リカちゃんの足音が遠くなるのを確認し、即座に参考書を閉じる。
机の端に置いたスマホを手に取りアプリを起動…………しようと思ったが、バレた時の事が怖くて、俺は渋々また参考書を開いたのだった。
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