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「どっちの部屋でご飯なのかしら?」
ちゃっかり参加するらしい桃ちゃんが、俺の後ろを歩きながら話す。
そこで俺は気づいてしまった。
うちには俺とリカちゃんの食器しかない。
……どうしよう。
「うち、食器無いんだけど…」
「ならリカの部屋ね!!何時に帰れるか聞いてみるわ」
スッとスマホを取り出した桃ちゃんは、素早い手つきで電話をかけた。
「……あたし。ねぇ、今日何時に帰るの?
うるさいわね。あんたの大事なウサギちゃんは隣にいるわよ。ちゃーんとお遣い出来てたから安心なさい。」
なんだそれ。
俺はもうすぐ16歳になるんだから買い物ぐらい余裕だっつーの。
「リカが帰って来るまでウサギちゃんの家に…って何よ。
………ちょっと待ちなさい」
桃ちゃんはそう言って俺にスマホを渡す。
「リカがウサギちゃんに代わってほしいみたい」
「俺?……もしもし」
桃ちゃんに代わり、電話に出れば通話口から深いため息をつく声が聞こえる。
『ウサギか?桃になんもされてない?』
「されてないけど…」
『それならいい。合鍵使って中入ってて。
俺が帰るまで桃に鍋の準備させとけ』
「……え、マジ、で?」
前に預かりはしたものの、使うタイミングが無かった合鍵…っつーか使う事なんて無いと思ってた合鍵。
『出来るだけ早く帰るようにするから。…あ、悪い。もう切るわ』
ピッと切られた電話を桃ちゃんに返す。
そして俺は鞄の中からようやく使う時が来た鍵を取り出した。
心なしか鍵が誇らしげに輝いてるように見える。
そのまま自分の部屋を通り過ぎ、リカちゃんの家の扉に鍵を差し込む。
……そりゃ、もちろん開いた。
「リカちゃんが準備しといてって」
先に桃ちゃんが入れるようドアを開ければ、こちらを見ながら固まっている。
「桃ちゃん?」
「ウサギちゃんってリカの合鍵持ってるの?」
「うん。ちょっと色々とあって交換した」
桃ちゃんが口に手を当て「あのリカが?嘘だろ……」と呟いた。
そんな驚くに理由が俺にはわからない。
合鍵を交換するなんて変だとは思うけど、そこまで驚くことなんだろうか?
「桃ちゃん?」
もう一度名前を呼べば、桃ちゃんは黙ったまま部屋へ入って行ったから俺もその後を続いた。
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