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「海でも見てく?」
夕飯に中華を食べ終え、車を走らせる。
横浜で中華で海……なんつーベタなデートコースだよ。
っ、これ、デートなのか?
デートって言っていいのか?!
なんかもう意識しすぎて顔から煙が出そうだ。
「寒いけど外出てみるか」
人気のない場所にやってきた俺たちは車を止め、手すりにもたれながら海を眺めた。
少し離れた所でタバコに火を点けたリカちゃんを見つめる。
「何?また見惚れてんの?」
「……リカちゃんってさ、意地悪だけど優しいよね」
俺ちゃんと気づいてるよ。
リカちゃんが俺の前でタバコを吸う時、
必ず風下にいるって事。
換気扇を気にするって事も。
それを当たり前のようにしてくれるリカちゃんがすごく好きだ。
「いっつも意地悪だの性悪だの言ってんの誰だよ」
「優しいけど意地悪なんだよ」
「なにそれ。矛盾してんじゃん」
そうやって目を細めて笑うところも好き。
「寒くね?」
「………ちょっとだけ」
「慧」
静かな声が俺を呼ぶ。
「おいで」
自分のコートを広げ、中に俺を抱き込む。
さっきまで吸ってたタバコの香りに、俺が貰ったのと同じバニラの甘い匂いが混ざる。
それはリカちゃんだけの匂い。
匂い 体温 声に仕草
その全て本当に、本当に…
『好き』
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