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「話って何?」
鷹野について来るように言われ部屋に入る。
たくさんのキャンバスに筆、油っぽい匂いが部屋の中に充満していた。
「ここ、美術部の部屋なんだ。この時間は誰も来ないからゆっくり話せるね」
近くにあった机にもたれた鷹野が俺を見た。
その目がまるで獲物を捉えたように怪しく光る。
「これ、なんだと思う?」
鷹野は指の間に挟んだ薄い紙をチラつかせ、下卑た笑みを浮かべる。
ご丁寧にプリントアウトされた写真。
そこに映るのは、俺とリカちゃんがスーパーの袋を手にマンションに入る姿だった。
「うまく撮れてるでしょ?」
「…盗撮とか趣味悪ぃな」
「ふふっ。褒めてくれてありがとう」
俺の威嚇なんて痛くも痒くもない、まるでそう言われているようだ。
「怪しいとは思ってたけど…まさか本当に付き合ってるなんて、ねぇ。教師と付き合うなんて兎丸君もやるね」
「付き合ってなんか…無い。」
そうであれば、焦りはするものの胸が苦しくはならない。
けれど鷹野は俺の言葉など信じないとばかりに鼻で笑う。
「教師と生徒…しかも男同士。
これバレたらマズいんじゃない?」
「何が言いたいんだよ」
胃がムカムカする。ヘドが出そうだ。
「俺、前に先生から離れてって言ったよね?」
「……これで俺を脅して……アイツがお前のモノになるとは限らねぇだろ」
悔しい。うまく言い返せない自分が悔しい。
なんとかしろ、と頭の中で警笛が鳴り響く。
「やっぱり兎丸君はバカだね。本当に俺があの人を好きだと思ってたんだ?」
ケラケラと乾いた音が部屋中に響いた。
にっこりと笑った鷹野が俺を見て口を開く。
そこから出た言葉は俺がリカちゃんから聞きたくて仕方なかった言葉。
「俺が欲しいのはね、兎丸君……君だよ。
俺は君が好きなんだ」
身体の奥底から嫌悪感が湧き上がる。
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