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どうやって帰ってきたのかわからない。
言いたいことを言って去って行った鷹野から逃げるように帰ってきた。
このままリカちゃんの部屋に行きたい。
1度だけ入ったあの部屋で帰りを待って…そしたらリカちゃんは笑って「仕方ないやつ」って言ってくれないかな。
この身体にリカちゃん以外が刻まれる前に俺をリカちゃんで溢れさせてほしい。
決して忘れることのないよう焼き付けてほしい。
「本当に首輪でも付けて閉じ込めてくれればいいのに」
自分でもらしくない事を言ってるのはわかってる。
それほどまでに今の俺は絶望で一杯だ。
もうこのままエレベーターが止まればいいのに。
でもって下まで真っ逆さまに落ちてしまえばいい。
けれど日本の技術は素晴らしく、俺を無事に目的地まで届けてくれた。
一歩一歩前へ進む。
それと同時に気持ちはどんどん落ちていく。
「あらぁ…ヤダ!ウサギちゃんってば俯いてちゃ可愛い顔が台無しよ?」
「桃ちゃん…」
「ふふっ。正義の味方桃ちゃんの登場!!」
「…なんで?だって、ここ俺の家だよ?」
リカちゃんの家じゃなく、俺の家の前に立つ桃ちゃん。
そんな桃ちゃんが大袈裟に顔をしかめて苦笑する。
「全く。あいつの人遣いの荒さは昔から変わらないわ」
「アイツ…って」
「ウサギちゃんがね、心配すぎて眠れない情けない俺様男にお願いされちゃったのよ」
桃ちゃんはそう言っておきまりのウインクを飛ばした。
「本当は自分が来たいくせに強がっちゃってバカみたい! 将来は頑固じじいで決まりね」
「リカちゃん、が……」
俺の様子が変なのに気付いたリカちゃんが桃ちゃんに頼んでくれたらしい。
俺なんか好きじゃないって言うくせに優しくするのはズルい。
突き放すくせに気分で手を伸ばす。
そして俺はその手を躊躇いなくとってしまう。
そうやってまたリカちゃんを好きになっていくんだ。
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